大阪ガスと産総研の新技術の概要
大阪ガス株式会社は、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で、SOECメタネーションのベンチスケール試験施設を完成させました。この取り組みは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する「グリーンイノベーション基金事業」の一環であり、CO2を利用した燃料製造技術の開発を目指しています。
SOECメタネーション技術とは
SOECメタネーション技術は、再生可能エネルギーを活用して水とCO2を電気分解し、生成した水素と一酸化炭素を用いてメタンを合成するプロセスです。この技術の大きな利点は、外部から水素を調達する必要がないため、原料が一貫して供給できる点にあります。また、高温での電気分解を行うことで、再エネ電力の消費を抑えることが可能です。
特に、SOECメタネーションは、従来のメタネーション技術よりも高いエネルギー変換効率を実現できる可能性があります。具体的には、85~90%のエネルギー変換効率が期待されており、これは従来のサバティエ反応メタネーションの約55~60%を大きく上回る数値です。これにより、e-メタンの製造コストも大幅に削減できる見込みです。
ベンチスケール試験施設の目的と内容
今回の試験施設では、SOEC水蒸気電解装置と、大阪ガスが独自に開発した触媒を使用したメタン合成装置を組み合わせて、試験を行います。このベンチスケール試験では、装置の性能確認と共に、プロセス全体の運転データを取得し、高いエネルギー変換効率を確保するための検証が進められます。
今後は、更なる効率化に向けて新たにSOEC共電解装置を設置し、試験が行われる予定です。これらの成果が得られれば、2030年度には世界最高レベルのe-メタン製造技術が確立されると見込まれています。
目指す未来
大阪ガスは、2031年度以降に実証フェーズを経て、2040年頃の実用化を目標にしています。この取り組みは、2050年に向けたカーボンニュートラル社会の実現を目指しており、大阪ガスが推進する“エネルギートランジション2050”の一環でもあります。
結論
大阪ガスと産総研が進めるSOECメタネーション技術のベンチスケール試験は、再エネを活用した持続可能なエネルギー製造の可能性を広げるものです。エネルギー価格の安定化や、環境への配慮を考える上でも大変重要な技術と言えるでしょう。今後の進展が非常に楽しみです。