昆虫の力で未利用残渣を資源化する新プログラムが始動
未利用残渣の資源化に取り組む株式会社スーパーワーム(宮崎県西都市、本社)が、新たに「アップサイクル試験プログラム」の参加受付を開始しました。このプログラムは、畜産、農業、食品、林業などから発生する未利用残渣を昆虫によって資源化することを目指しています。
この試験プログラムでは、企業や地方自治体が保有する未利用残渣を実際に昆虫に与え、成長速度、生存率、飼料変換効率、体組成、そして副産物特性を科学的に評価します。これにより得られたデータは、燃料化、飼料化、肥料化のシナリオ設計に直結し、今後の事業化や補助制度の活用といった機会にも繋がる可能性があります。
プログラムで行う主な試験項目
試験プログラムでは、以下のような項目が評価されます。
成長・生存性
- - 成長速度曲線
- - 生存率・死亡率解析
- - 発育ステージの移行(蛹化・羽化)
- - 発育スピードの比較
飼料効率
- - FCR(Feed Conversion Ratio)
- - 摂取量の評価(投入と残渣の比較)
- - 排泄率(フラス割合)
- - 水分条件の影響
- - 残渣の種類の比較
配合設計
体組成評価
- - 含水率・乾物率
- - 粗タンパク・灰分・繊維の計測
- - 発育段階ごとの栄養成分比較
- - 脂質含有率・抽出油量の分析
消化・代謝
- - C/Nバランスの解析
- - 炭水化物・タンパク・脂質の消化率算出
副産物分析
- - 脱脂ミールのアミノ酸組成(飼料適性)
- - 油の酸価・遊離脂肪酸・水分/不純物(燃料化適性)
- - フラス(肥料・燃料利用)の基礎特性(窒素・炭素含有、発熱量など)
プログラムの特長
このプログラムの特長は、実際の飼育を通じたリアルデータの収集です。単なる成分分析にとどまらず、昆虫がどのように成長するかを直接確認できます。また、副産物までを含めて多角的に評価することも可能で、油(燃料)、脱脂ミール(飼料タンパク)、フラス(肥料・燃料)の利活用の可能性を網羅的に検討します。さらに、試験計画からレポート納品まで、対象者と協力して進めるため、制度申請や企業との連携にも活かせる形式が整っています。
想定される利用シーン
プログラムが対象とする残渣の例としては、以下のようなものがあります:
- 酒造副産物(酒粕、焼酎かす、ビール粕、ホエイなど)
- カカオハスク、茶かす、抹茶粉末残渣
- インスタント食品工場の乾燥麺端材
- 剪定枝や規格外品(果樹や野菜の外れ品など)
- 材料として発生する栽培床の残渣
- 製材所で発生する樹皮
- 鶏糞・牛糞をペレット化した飼料原料候補
- 魚加工残渣(内臓残渣、魚油搾りかすなど)
- バイオエタノール発酵残さや消化液固形分
- コーヒー焙煎時のシルバースキン
株式会社スーパーワームについて
株式会社スーパーワームは、昆虫を活用した未利用残渣の資源化技術を研究開発し、実装するスタートアップです。残渣からバイオ燃料原料である油脂や、飼料タンパク質、肥料の材料となる脱脂ミール、フラスを生み出す循環型モデルの構築に取り組んでいます。さらに、大手企業や自治体との共同研究を通じて、残渣を社会的価値に変えるプラットフォームを世界規模で展開することを目指しています。
本件の詳細についてのお問い合わせは、株式会社スーパーワームの広報担当までご連絡ください。