IIJ、終末期患者の意思を尊重する調査事業を開始
IIJが行う「終末期の患者の意思を尊重する事前指示書の確立に向けた調査事業」が、内閣府の公募事業に選ばれました。このプロジェクトは、人口の高齢化が進む日本において、特に終末期の医療とケアに関する重要な課題に焦点を当てています。
1. 事業の背景
日本の高齢化社会では、終末期における患者の意思をどう尊重するかが大きなテーマとなっています。多くの場合、救急搬送中に患者本人の意向が確認できず、望まない生命維持治療が施されてしまうことがあります。また、救急搬送数の増加は救急隊員の業務負担を増大させ、迅速かつ適切な対応が求められています。このような背景から、本調査事業は重い病を抱える患者の意思を明確化し、それを医療現場でしっかりと共有する仕組みの構築を目指しています。
2. 調査の目的
当事業では、茨城県つくば市を実証地域として、専門医や生命倫理の専門家と協力しながら、重い病を持つ患者の意思を尊重するための事前指示書の整備と活用方法をリサーチします。また、筑波大学附属病院と連携し、医療それぞれの職種がつながるICTプラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」を基盤にします。
このプラットフォームを通じて、在宅医療や介護に関する患者情報が迅速に医療・救急現場で共有され、救急対応の質が向上することを期待しています。具体的には、患者の緊急連絡先や「かかりつけ医」などの情報がデータとして連携され、救急隊員はこれを基に適切な判断を行うことができるようになります。
3. 取り組みの具体内容
調査事業の一環として、以下の主な取り組みが行われます。
- - 事前指示書の運用検証を生命倫理的観点から行うこと。
- - 救急搬送時の事前指示書確認体制を整理すること。
- - 在宅医療、介護、救急の専門職のIT基盤を構築すること。
- - 事前指示書の制度化および標準化に向けた規制、制度改革の提案を検討すること。
4. 今後の見通し
今後は、本事業を通じて得られた知見と課題を基に、行政や医療現場と密に連携を取りながら、事前指示書の制度化を進めると共に、全国展開に向けた法的改革を提案する意向です。これにより、救急時における患者の意思がより尊重される社会の実現を目指します。
5. 参考リンク
詳細に関しては、
内閣府 スーパーシティ採択結果をご覧ください。また、IIJ電子@連絡帳サービスについては、
こちらからご確認いただけます。