レゾナックとZenmuTech、秘密計算を活用した新たなMI基盤を構築
株式会社レゾナック・ホールディングスが、株式会社ZenmuTechと協力し、機密情報を保持したまま材料開発データを利用できるMI(マテリアルズ・インフォマティクス)基盤を構築しました。この基盤は、ZenmuTechの開発した秘密計算ライブラリ「QueryAhead®」を活用しています。これにより、サプライヤー企業の機密データが開示されることなく、企業間で共同でデータ分析を行うことが可能になります。
特に、半導体材料の品質向上が求められる現代において、サプライチェーン全体でのデータ活用の重要性が増しています。業界全体でのデータ共有が簡単ではない中で、レゾナックとそのサプライヤーである化学メーカーA社がこの新しい基盤を用いて、実証を行い、機密データの保護が実現可能であることを確認しました。
背景
最近の材料開発において、マテリアルズ・インフォマティクスの導入が進んでいます。しかし、各企業が保有するデータは競争力の源泉であるため、自社データの秘匿は不可欠です。そのため、企業間でのデータ共有には多くの制約があります。レゾナックはこの状況を解決すべく、2023年以降に取り組みを開始しました。
例えば、半導体材料の開発では複数のサプライヤーと連携しますが、それぞれが保有するデータは多様であり、通常の計算環境では活用しにくい状況です。この問題を解決するためには、データを安全に扱いながらも、十分な解析ができる環境が求められていました。このような中、レゾナックはZenmuTechと連携し、秘密計算の活用に向けた取り組みを開始しました。
技術のポイント
レゾナックが採用した秘密計算技術には、データを複数の断片に分割して保管する「秘密分散」方式があります。この技術は、データの一部が漏洩しても元データを復元できないため、データの安全性が確保されます。さらに、秘密計算とは、データを秘匿したまま計算処理を行う技術で、現在のところ実用化の段階に入っています。この技術により、機密情報を保持したまま共同でデータ解析が可能となるのです。
実証の成果
今回の実証では、化学メーカーA社の材料データとレゾナックの評価結果を用いて、秘密計算環境内でデータを結合し、解析を実施しました。その結果、データを持ち寄ることで、以前には認識されなかった物性の予測が可能となり、誤差が約78%減少しました。さらに、得られた回帰係数は、新たな知見と整合するものであり、両社の共同作業の大きな成果となりました。
今後の展開
レゾナックとZenmuTechは、この取り組みを通じて、化学業界におけるデータの安全な連携モデルを確立したいと考えています。企業間のデータを活用することで、材料開発がさらに加速され、イノベーションが促されることが期待されます。今後も、実運用に向けた運用ルールの整備やさまざまなテーマへの応用を進め、秘密計算技術の活用を拡大していく方針です。これにより、材料開発の高度化と新たな価値創出が進展すると期待されています。
業界の声
株式会社レゾナック・ホールディングスのCTO福島正人は、「半導体のサプライチェーン全体での材料開発高速化には、データを組み合わせて活用することがますます重要になっている」と語っています。また、ZenmuTechのCEO阿部泰久も、「機密データを守りつつ、その価値を引き出す取り組みが成果を上げた」と評価しています。今後、この技術が広がることで、より多くの企業が材料開発におけるデータ連携を進めていくことが期待されています。
以上のように、レゾナックとZenmuTechが進める秘密計算の取り組みは、特に化学業界において新たな地平を切り開くものとなりそうです。将来に向けて、この基盤技術がさまざまな応用へと発展し、イノベーションを促進することが望まれます。