思春期世代が求める新たな居場所「非交流型」への理解と実践
認定NPO法人3keysが3月2日に開催した第28回Child Issue Seminarでは、現代の思春期世代が求める「居場所」の新しい形について議論が行われました。テーマは「つながりの過剰」と「ひとりの安心」。これは、子どもたちがどのように「つながり」を選べる社会を求めているのかを考える重要な機会となりました。
セミナーの概要と基調講演
セミナーには多くの参加者が集まり、まず筑波大学の土井隆義教授が基調講演を行いました。彼は、現代の子どもたちが直面する「生きづらさ」に関するデータを提示し、青少年犯罪や不登校、自殺者数の推移といった統計を用いて、社会的な背景を解説しました。土井教授は、経済の変化や大人社会の影響が子どもたちの意識や人間関係に与える影響を考察し、10年前の子どもたちとは異なる、「地殻変動」を遂げていることを示唆しました。
4,000人調査から見えた新たなニーズ
次に、北海道大学の加藤弘通氏と早稲田大学の白田好彦氏が、全国の10代4,000人を対象に実施した「居場所に関するアンケート」の結果を発表しました。この調査結果から、約3分の1の思春期世代は秘匿性や「ひとり志向」を重視している「非交流型重視グループ」に分類されることが判明しました。従来の交流やプログラム重視の居場所とは対照的に、彼らはよりプライバシーを重視した居場所を求めていることがわかりました。
3keysユースセンターの実践と閉館
セミナーの第2部では、3keysの代表理事森山誉恵さんが「非交流型・非プログラム型」として運営されていたユースセンターの実践について報告しました。この居場所は2021年から5年間運営されてきたものの、リソースの限界を理由に3月17日をもって閉館することが発表されました。森山さんは、資金集めから運営の苦労までを振り返り、思春期世代に新しい居場所の必要性を訴え続けたその意義についても触れました。彼女の言葉には、感謝とともに無念さがにじみ出ていました。
港区の新たな居場所づくり
続いて、港区からは子ども若者支援部の矢ノ目真展氏が登壇しました。彼は、2027年1月に新たな居場所を立ち上げる計画について報告しました。3keysはこのプロジェクトにおいて初期段階から伴走しており、非交流型の実践が公的事業に取り入れられる第一歩となると期待が寄せられています。矢ノ目氏は、予算確保における困難な道のりや、市民社会との連携の重要性についても言及しました。
官民のトークセッション
最後に、こども家庭庁の大山宏氏や元港区子ども家庭支援センター所長の保志幸子氏を交え、トークセッションが行われました。このセッションでは、「非交流型・非プログラム型」の居場所の意義と、今後の居場所づくりの方向性について、各々の立場からの意見が交わされました。
参加者の感想
参加者からは、非交流型の居場所の重要性や、思春期世代の葛藤を理解する良い機会となったとの感想が寄せられました。また、支援が恥ずかしいとされている日本の環境が、子どもたちに与える影響についても多くの意見が集まりました。今後、こうしたディスカッションが思春期世代の「居場所づくり」における一つのきっかけとなり、必要な支援が届くことが期待されています。
まとめ
3keysは、全ての子どもたちが孤立せずに安心して生活できる社会を目指して活動を続けます。このセミナーを経て、思春期世代に必要な「居場所」を考える重要性が再認識され、さらなる支援が実現されることを願っています。また、本セミナーのアーカイブ動画は4月1日から配信予定で、多くの方にお届けできることを楽しみにしています。