モバイル通信のベストプラクティス解説
一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)では、ユーザーがスマートフォンを安全に利用できるよう、2024年12月18日に米国サイバーセキュリティ機関CISAが公開した「Mobile Communications Best Practice Guidance」を参考にした解説記事を発表しました。このガイドラインはエンドツーエンドの暗号化や多要素認証など、具体的な推奨事項を提示しており、スマートフォン利用者にとって重要な情報となります。
ベストプラクティスの概要
このガイドは主に3つのセクションに分かれています。推奨事項、iPhone対応推奨事項、Android対応推奨事項です。これらのセクションでは、各操作システムにおける具体的なセキュリティ対策が紹介されています。
推奨事項
基本的な推奨事項としては以下の8つが挙げられます。これらを取り入れることで、スマートフォンのセキュリティを強化することが可能です。
1.
エンドツーエンドの暗号化通信を使用する: データのやり取りは暗号化された経路を選びましょう。
2.
FIDOによる認証: FIDOを利用して、簡単かつ安全な認証を実現します。
3.
SMSを用いた多要素認証からの移行: SMSによる認証は安全性が低いため、他の方法へ変更することが推奨されます。
4.
パスワードマネージャーの利用: 複雑なパスワードを安全に管理するために、パスワードマネージャーを活用しましょう。
5.
通信事業者のPINを設定: 不正利用を防ぐために、通信事業者へのアクセスにPINを設定します。
6.
定期的なソフトウェアの更新: 最新のセキュリティパッチと機能を得るため、定期的にアップデートを行います。
7.
最新のハードウェアを選ぶ: 安定したセキュリティを得るため、常に最新のハードウェアを選ぶことが重要です。
8.
個人用VPNの非利用: 一般的には安全だと思われがちなVPNですが、特定の条件下ではリスクがあるため注意が必要です。
iPhone向け推奨事項
iPhoneユーザーに向けた推奨事項には以下の5つがあります。
1.
ロックダウンモードを有効化: 不審な活動からデバイスを保護します。
2.
SMS送信設定の無効化: iMessageが利用できない場合にSMSに送信されないよう注意を払いましょう。
3.
DNSクエリの保護: DNSリクエストを暗号化し、データの漏洩を防ぎます。
4.
iCloudプライベートリレーへの登録: プライバシーを向上させるためにこのサービスに登録します。
5.
アプリの権限確認: 利用しているアプリの権限設定を見直し、必要な制限をかけましょう。
Android向け推奨事項
Android端末に推奨される事項は以下の7つです。
1.
セキュリティ実績のあるメーカーを選ぶ: 安全性の高いメーカーのデバイスを優先してください。
2.
リッチコミュニケーションサービスの利用: エンドツーエンド暗号化が有効なリッチコミュニケーションサービスの利用を推奨します。
3.
AndroidプライベートDNSの設定: 信頼できるDNSサービスを利用した設定が推奨されます。
4.
Chromeブラウザの設定確認: 常に安全な接続を使用する設定を確認しておきましょう。
5.
安全なブラウジングの強化保護の有効化: 安全なウェブ閲覧のための設定を強化しておくことが重要です。
6.
Google Play Protectの有効化: アプリの安全性を確保するために、Google Play Protectを有効にしておきます。
7.
アプリの権限を確認して制限: インストールしたアプリの権限を常に見直し、不必要な権限を制限します。
日本スマートフォンセキュリティ協会について
日本スマートフォンセキュリティ協会は、2011年に設立され、スマートフォンの安全な利用促進に向けた啓発活動を行ってきました。現在では、スマートフォンだけでなく、クラウドやIoTなど様々なICTの分野でも安心安全な普及を目指しています。これにより、ユーザーはより安全にテクノロジーを利用できる環境を整えることを目指しています。
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