夏目漱石と小宮豊隆の交流を探る特別展
新宿区立漱石山房記念館では、2023年10月12日から12月15日までの期間、特別展「『三四郎』の正体 夏目漱石と小宮豊隆」が開催されます。本特別展は、小宮豊隆の生誕140年を記念し、夏目漱石との関係性や豊隆の生涯と業績を掘り下げる内容となっています。
小宮豊隆(1884-1966)は、福岡県仲津郡久富村(現・京都郡みやこ町)出身の著名な文芸評論家であり、夏目漱石の弟子として知られています。彼は県立豊津中学校を経て第一高等学校に入学後、1905年に東京帝国大学文学部独文科に進学。そこで、いとこの犬塚武夫がロンドン留学中に紹介した夏目漱石に出会い、以降はその門下生として活動を始めました。
漱石のもとで彼はさまざまな文学活動に参加し、漱石の没後もその業績を支え続けました。特に「漱石全集」の編纂に関わり、現在我々が知る「漱石全集」の基本的な形を築くことに寄与しました。さらに、漱石書斎に残された蔵書は、自ら館長を務めていた東北大学附属図書館に寄贈され、「漱石文庫」という形で今日の東北大学コレクションに結実しています。
特別展では、夏目漱石の著作『三四郎』の初版本や、小宮豊隆の肖像画、漱石の親族からの書簡など貴重な資料が一堂に展示されます。これにより、漱石と豊隆の交流の深さや、豊隆が漱石文学に与えた影響を具体的に知ることができます。
主な展示資料の紹介
- - 夏目漱石『三四郎』初版(春陽堂、明治42年):本展の中心的展示資料であり、漱石の文学を象徴する作品です。
- - 小宮豊隆肖像:彼を描いた安井曾太郎の画が、その知識人としての姿を際立たせています。
- - 夏目金之助から小宮豊隆宛の書簡(明治39年):漱石の家庭と豊隆との親密な関係を示す重要な資料です。
開催概要
- - 開催期間:2023年10月12日(土)~12月15日(日)
- - 会場:新宿区立漱石山房記念館(東京都新宿区早稲田南町7) 2階資料展示室
- - アクセス:公共交通機関の利用を推奨。駐車場はありません。
- - 開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
- - 休館日:毎週月曜日(休日の場合は直後の非休日)
- - 料金:一般500円、小中学生100円。団体(20名以上)は個人料金の半額、小中学生は土日祝日無料。
- - 主催:新宿区立漱石山房記念館
関連イベント
特別展期間中には朗読とギャラリートーク「三四郎に会えるひととき」と題したイベントも行われます。
- - 朗読者:岩田理加子(朗読の会ふみのしおり主宰)
- - 日時:10月13日、11月10日、12月15日(各日14時~15時)
- - 申込:不要。直接地下1階講座室にお越しください。
夏目漱石と小宮豊隆の深い交流を感じる貴重な機会をお見逃しなく!