星野リゾート最新の取り組み: EIMYで築く持続可能な未来
星野リゾートが発表した新しい取り組み「EIMY」(Energy In My Yard)は、2025年6月16日からYouTubeに動画を公開して注目を集めています。このプロジェクトは、軽井沢にある滞在型リゾート「星のや軽井沢」を支える独自のエネルギーシステムで、自然の恵みを生かしつつ、環境への負荷を最小限に抑えることを目的としています。
EIMYの基本理念
EIMYは「自ら使うエネルギーはできるだけ自分たちで生産する」という理念を基に、持続可能なエネルギーを利用する枠組みです。「星のや軽井沢」は、2005年の開業当初から、この考えを取り入れています。特に、地形を活かした水力発電、温泉排熱を利用したヒートポンプシステム、そして環境に配慮した建築デザインを組み合わせることで、エネルギーの約7割を自らの敷地内で生産できています。当初、同施設では、電力の多くを灯油に依存していましたが、環境への配慮からこのようなシステムが構築されました。
水力発電の歴史と仕組み
「星のや軽井沢」では、開業当初から自家製水力発電所を持ち、今もなお活用されています。現在、施設内には高低差を活かした水力発電機が二か所設置されており、200の年間平均発電量は約81万KWhに達します。これにより、施設のエネルギーの基盤が築かれ、星のや軽井沢の水辺の景観を創り出す役割も担っています。
持続可能な温泉体験
また、星野温泉からは7つの源泉からお湯が湧出し、毎分852リットルの温泉が提供されています。ここでの温泉は単なる入浴環境だけでなく、その排湯熱をヒートポンプで回収し、暖房や冷房の熱源としても利用されています。このような循環型のシステムは、自然環境への影響を最小限に抑えるための取り組みの一環でもあり、また、川の生態系にも良い影響を与えています。
地中熱の利用と冷却システム
さらに、軽井沢の地中熱利用システムも見逃せません。広大な敷地内には地中熱交換井が3本あり、深さ400メートルの井戸から熱を循環させて採取されます。こうした技術により、地面に負担をかけず、安定したエネルギー供給が実現されています。
環境に優しい建築デザイン
このリゾートは、環境に配慮した建築設計も大切にしています。屋根に取り付けられた「風楼」と呼ばれる小屋根は、自然の冷気を利用して客室内の温度を快適に保つ役割を果たします。これはまさに、軽井沢の風土に根ざした「天然のエアコン」と言えます。また、全体の冷暖房システムはヒートポンプによって温泉の排湯熱や地中熱を活用し、そのエネルギーを適切に管理することで、さらなる省エネを実現しています。
持続可能な未来への道
「星のや軽井沢」では、これらの取り組みを通じて環境大臣賞などの評価を受け、持続可能な観光やSDGsの達成にも寄与しています。リゾートの理念は、ただの宿泊施設にとどまらず、人と環境が共生する未来を見据えています。
「星のや軽井沢」は、ただの滞在先ではなく、訪れる人々にとって新しい体験と学びの場となることでしょう。今後も、彼らの取り組みが多くの人に影響を与えることを期待しています。