地元の魅力を活かした新しい飲料の開発
岩手県一関市で、一関工業高等専門学校が地元の酒造会社と共同で牡蠣を利用したノンアルコールビールの開発に取り組んでいます。このプロジェクトの背景には、やまと在宅診療所の医師からの「栄養補助飲料を作ることができないか」という提案がありました。これを受けて中川裕子教授が中心となり、試作が進められています。
プロジェクトの目的と意義
このプロジェクトは「栄養補助飲料としてのノンアルコールビール」という新たな飲料を届けることを目的としています。特にスポーツをされる方々に向けて、飲みやすく栄養価のある飲料の提供を目指しています。地元の三陸産牡蠣の栄養を活かすことにより、地域資源を最大限に活用し、健康の促進を図る意義もあります。
これまでの経緯
試作はこれまでに2回行われており、第1弾では三陸広田湾産のむき身牡蠣、遠野産のホエイを使用し、第2弾では殻付きの牡蠣と玄米が取り入れられました。試作品に対するアンケートでは、味についての評価は賛否が分かれましたが、「ノンアルコール飲料に栄養が含まれる」というコンセプトには好印象を持たれていることがわかりました。現在、試作第3弾が進行中で、来年春に発売予定です。
世嬉の一酒造の実績
このプロジェクトに参加する世嬉の一酒造株式会社は、特に「いわて蔵ビール」というブランドで知られており、国際的なビールコンペティションでも高評価を得ています。2024年のWorld Beer Awardsでは、三陸牡蠣を使用したスタウトがスタイル別で世界1位に選ばれています。こうした実績があるため、今回のノンアルコールビールへの期待も高まります。
開発チームの構成
今回のプロジェクトには、一関工業高等専門学校、世嬉の一酒造株式会社、やまと在宅診療所の医師や看護師が参加しており、互いの専門性を活かす形で進められています。このような連携により、栄養面と味覚の両面を兼ね備えた飲料の開発が実現可能になると考えられています。
期待される効果
出展が予定される商品は330mLで約500円という価格設定がされていますが、その栄養価と地元の魅力を活かした内容がどのように受け入れられるのか、今後の展開が待ち望まれます。一関工業高等専門学校は、1964年に設立されて以来、産業を支える技術者を育成するという教育理念を持っており、地域社会への貢献を強く打ち出しています。
結論
一関の地元資源を活かしたノンアルコールビールの開発は、新たな飲料文化を生み出す可能性を秘めています。来春には、その結果が消費者の手に届くことを期待しつつ、私たちもこのプロジェクトの進展に注目していきたいと思います。