山形・遊佐中学校での国際交流教育講演会
2023年10月22日、山形県遊佐中学校にて、「世界とつながる学び」をテーマにした講演会が開催され、なかよし学園プロジェクトが主催しました。この取り組みは、生徒たちが海外の子どもたちに文房具を支援する活動を通じて、国際的な視野を広げることを目指しています。
背景と取り組みの経緯
このプロジェクトの発端は、今年5月に実施された人権教育講演会です。そこで触れられた内容に感銘を受けた2年3組の生徒たちは、自発的に文房具の収集を始め、さらには海外送料を募るための募金活動にも取り組みました。これにより、学びの機会に恵まれない若者たちに支援を届けることを、なかよし学園は正式に約束したのです。
今回の講演会では、ルワンダの支援団体「African mirror」の事例をもとに、文房具を集めることがいかに多くの子どもたちの人生に影響を与えるかが説明されました。文房具が教育につながり、さらに就業機会を生み出し、家族の生活を支えるという正のサイクルが生まれるということが、生徒たちに強く印象づけられました。
シリアへの支援とその意義
続いて、なかよし学園の代表である中村雄一氏が、シリアプロジェクトの様子を紹介しました。戦争の影響を受けたシリアにいる同世代の児童たちがどのように生活しているのか、その生の声を聞くことで、生徒たちの心が深く動かされました。「自分にも何かできるかもしれない」という意識が芽生え、生徒たちの自発的な行動に繋がる様子が見受けられました。
現地との双方向のコミュニケーション
特に印象的だったのは、講演会の中で実施されたライブ接続です。シリアにいるアラさんとアスレさんと結び、実際に登校状況などを質疑応答するという取り組みも行われました。国境を越えたコミュニケーションに生徒たちは興奮し、質問することで得た現地からの回答が、彼らの記憶に刻まれました。アラさんが「アリガトウ」と言った瞬間、教室は拍手と歓声に包まれ、言葉の力を感じる瞬間となりました。
メディアリテラシーと異文化理解
翌23日には、特別授業としてメディアリテラシーや食の多様性をテーマにした授業が行われ、中村氏が講師を務めました。「ジャスミン革命」を取り上げ、一つのニュースが世界を変えることができる事例を交えながら、情報の重要性や批判的思考の大切さが伝えられました。英語の授業でも、異文化料理を通じて食や環境問題についての話がされ、生徒たちは実践的に英語を用いながら、自らの意見を形にするチャンスを得ました。
教育者や生徒の反応
石黒校長は「世界との接続は目の前の人を大切にする眼差しを育ててくれる」と語り、教育クリエイターの今野氏は、メディアリテラシーが生徒の思考を深めるきっかけになったと強調しました。また、担任の田中教諭は、募金活動を通じて生徒たちの結束が高まり、プロジェクトの意義を感じていると述べました。
今回の取り組みは、遊佐中学校の生徒たちを通じて、教育がどのように社会へ実装できるのか、その一端が実証されました。生徒たちの「一歩踏み出す勇気」は、校内での協力体制を築き、さらには他の学年やクラスを巻き込む形で発展しています。
今後に向けて
集まった文房具は国際便で運ばれ、現地の子どもたちとの交流を一層深める計画が進行中です。また、子どもたちのアイデアを教材化し、海外の授業で実施することで、国際的な教育の循環が期待されています。これにより、支援される側から支援する側へと、主語の転換を促す新しい方向性が生まれるでしょう。
このように、なかよし学園プロジェクトは、教育を通じて国際交流の輪を広げ続け、次世代の子どもたちがより豊かな世界を創造する手助けをしています。講演会はただの知識の伝達ではなく、実際に行動へとつなげる素晴らしい機会であったと言えるでしょう。そして、これからも続くこのプロジェクトに期待が寄せられています。