高齢化社会における在宅医療の新たな挑戦と支援

日本は超高齢化社会を迎え、要介護高齢者の数が急増しています。また、がんの生涯罹患率も上昇し、がんで亡くなる人の数も増え続けています。それに伴い、日本においては約80%の人が病院で亡くなる状況ですが、病院での看取り体制には限界が生じており、今後さらに増加する死亡者に対し在宅での看取り体制の強化が求められています。

医療法人社団悠翔会は、2006年に東京・千代田区で第一号の在宅医療専門クリニックを設立しました。以来、患者の価値観を中心とした医療の提供を目指し、現在は首都圏に17の診療拠点を展開し、約6000人の患者に対して24時間体制で在宅総合診療を行っています。精神科や皮膚科を含む多くの診療科に対応し、認知症ケアや緩和ケア、リハビリ、さらには歯科・栄養ケアなどの包括的な支援体制を整え、これまでに2万人以上の患者に寄り添ってきました。昨年は約1200人の最期の瞬間に立ち会い、そのうちの800人を自宅でお看取りしています。

都市部では在宅医療の提供体制が徐々に整ってきていますが、まだ約20%の基礎自治体には在宅療養支援診療所が存在しません。そのような地域は超高齢化が進んでいる一方で、人口減少という課題を噴出させています。悠翔会は今後、これらの「在宅医療過疎地域」においても、医師などの限られたリソースを大都市と共用しながら、地域のニーズに応じた持続可能な医療提供体制の構築に取り組んでいきます。

また、日本の地域医療においては「一人開業医」の存在が多く、その高齢化も進行しています。在宅医療は、多くの場合、個々の開業医の責任感に支えられていますが、特に高齢の医師にとっては24時間対応が難しく、持続可能性を確保するのが難しいのが実情です。悠翔会は地域の開業医を支える形で診療やクリニック運営をバックアップし、地域に根ざした安定した在宅医療提供体制を確立するサポートを行っています。

沖縄県南風原町の新クリニック

沖縄県南風原町に新たに開設された「くくるホームケアクリニック南風原」は、超高齢化と医療過疎化が同時に進行する地域において24時間体制の在宅医療を提供するために設立されました。この医院では、緩和ケアや精神科も含む常勤医師2名による診療が行われ、開設からわずか2週間で40名の患者に対する支援を始めています。さらに、そのうち2名のお看取りも成功しました。

院長の東賢志氏は、麻酔学や緩和医療学に従事してきた経験を生かしながら、沖縄独自の文化や価値観に寄り添った在宅医療の提供を目指しています。「くくる」という言葉は沖縄の言葉で『心』を意味し、患者やその家族と共に心の通う医療を実現していく考えを持っています。

神奈川県藤沢市のココロまち診療所

神奈川県藤沢市にあるココロまち診療所は、総合診療医である片岡侑史院長が開業した在宅療養支援診療所です。地域住民との交流を重視し、安定した診療の提供を行ってきましたが、持続可能性の観点から悠翔会のチームと連携することになりました。院長は、訪問診療を通じた安心感を重視し、患者が穏やかに過ごせる環境を整えることを重視しています。

千葉県流山市の悠翔会在宅クリニック流山

千葉県流山市で運営される悠翔会在宅クリニックは、院長の高齢化に伴い、運営の交代が行われました。患者の高齢化に応じた在宅医療を開始することになり、確かな支援体制が整えられました。院長の白石貴久氏は、患者に寄り添いながら、心地よい療養環境を作り出す努力を続けています。

医療法人社団悠翔会の全体像

医療法人社団悠翔会は、首都圏近郊に17拠点、沖縄県に1拠点の全18拠点を展開し、約6000名の在宅患者に24時間対応の訪問診療を行っています。地区ごとに住民のニーズに応じた医療を提供し、地域医療の安定を図っています。今後も、すべての人が自宅で過ごしたいという願いを実現するために、さらなる支持と協力を提供し続ける所存です。