建築家・平田晃久とその思想
練馬区立美術館で開催される特別展「平田晃久―人間の波打ちぎわ」では、著名な建築家平田晃久の独自の作品とその思想に焦点を当てています。平田は「からまりしろ」という独特な概念を提唱し、これは従来の明確に区分けされた空間とは異なる、柔らかい隙間や境界の重なりを意味します。
「からまりしろ」とは
平田の考える「からまりしろ」は、生命や文化のあらゆる側面を包摂する広義の概念です。人間社会にとどまらず、植物や動物、異なる文化が交錯する場所として理解されています。平田は、この空間的な「ふわふわした隙間」を通じて、私たちが従来持っていた「人間とは何か」という狭い概念から解放される未来の姿を描いています。
建築としての実践
平田は数々の公共建築を手掛けており、その中でも「太田市美術館・図書館」は2022年に日本建築学会賞を受賞しました。この建物は、さまざまな空間が相互に絡まり合い、地域の象徴として人々から親しまれています。彼の設計には、生命や自然への深い敬意が反映されており、それが彼の哲学的アプローチに根ざしています。
練馬区立美術館の新しい展開
新たに練馬区立美術館が平田の代表作に加わり、その観光と文化の中心的存在になることが目指されています。「21世紀の富士塚/アートの雲/本の山」をテーマにしたこの美術館は、図書館と融合し、市民とアートをつなぐ場所として構想されています。
展覧会の構成
特別展は三つの章から成り立っており、第一の章では「からまりしろ」に焦点を当てます。第二章と第三章では、「響き」というテーマが探求され、過去と現在、人々の思いがどのように共鳴し合うのかが示されます。これを通じて、私たちの意識が広がる様子を体感できるような構成になっています。
展示の見どころ
- - インスタレーション体験:展示室をつなぐ「波打ちぎわ」のインスタレーションが訪問者を迎えます。
- - 平田建築のアプローチ:20件以上の作品が各テーマごとに展示され、平田の思想の深さを感じることができるでしょう。
- - スケッチや模型:台湾に建設された「Taipei Roofs」など、貴重なスケッチやモデルを通じて彼の建築プロセスが垣間見えます。
- - ワークショップ:建築を体験し学ぶためのイベントも企画されています。
開催概要
- - 会期: 2024年7月28日(日)~ 9月23日(月・休)
- - 会場: 練馬区立美術館
- - 開館時間: 10:00~18:00(入館は17:30まで)
- - 観覧料: 一般1,000円、特定の割引が適用される来館者もいます。
- - 主催: 練馬区立美術館(公益財団法人練馬区文化振興協会)
この特別展では、平田の建築と思索が新たに展開され、訪れる人々に深い理解と発見を提供することでしょう。彼の哲学と建築に触れ、未来の空間を感じ取る貴重な機会です。