フリーアドレス環境の実態:コミュニケーションの課題
新たな働き方として注目されるフリーアドレス。名称からは自由そうに思えますが、実はその背後には様々な課題が潜んでいます。株式会社PHONE APPLIが発表した調査結果によると、1000名以上の従業員を抱える企業の約4割が、急な相談がしにくいと感じていることが明らかになりました。
フリーアドレスとハイブリッドワークの普及
コロナ禍を経て、多くの企業がリモートワークやハイブリッドワークを導入しましたが、それに伴い働き方も変わり、フリーアドレスが普及しています。フリーアドレスとは、各従業員が自由に席を選んで仕事をするスタイルです。しかし、この自由さが職場のコミュニケーションに逆効果をもたらすことがあるのです。
調査結果の概要
PHONE APPLIでは、ハイブリッドワークを取り入れたフリーアドレス企業に勤務する107名を対象に、組織内コミュニケーションに関する調査を実施しました。結果として、42.1%が「急な相談がしづらい」と回答し、39.3%が「スケジュール調整に手間取る」という意見が挙がりました。これにより、業務の即時性が損なわれていることが浮き彫りになりました。
意見交換がスムーズに行えない理由
また、参加者の32.7%が「意見交換や相談がスムーズにできない」と答え、「誰がどこにいるか」や「話しかけてもよいタイミングがわからない」というフリーアドレス特有の情報不足がコミュニケーションの障壁となっていることも分かりました。これは、顔を見ない環境における大きな課題であり、組織のコラボレーションが阻害される要因となっています。
解決策の模索
調査結果では、円滑なコミュニケーションを図るための重要な仕組みとして、35.5%の人が「相手の状況を理解した上で連絡できる仕組み」を挙げ、「チーム全体の成果や目標の共有ができる場」を求める声もありました。加えて、22.4%が「社員のスキルや専門性を検索できるシステム」を重要視していることが分かり、情報の可視性と検索性の向上が求められています。
組織を強化するための取り組み
このような課題を克服するためには、社員の居場所やステータスをリアルタイムで可視化するツールの導入が効果的です。また、チームを超えた人材検索機能や専門性に基づくフィルタリング機能を強化することで、必要な情報や人に迅速にアクセスできる環境が整い、コミュニケーションの心理的ハードルを低下させ、職場全体のつながりを強化できるでしょう。
今後に向けて
この調査を通じて、フリーアドレス制度とハイブリッドワークの両立が新たなコミュニケーション課題を生んでいることが明らかになりました。社員同士の偶発的な会話や相談の機会を増やし、チームの一体感を高める施策が必要です。心理的安全性を保ちつつ、職場のコミュニケーションを改善していくことが求められているのです。今後の企業は、こうした調査結果を参考にし、改革を進める必要があるでしょう。
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深掘りしてみた
実践的な解決策が求められる現在、フリーアドレス環境が持つ潜在的な弱点にしっかりと向き合い、適切な情報共有とコミュニケーション手段を整えることが重要です。組織文化の変革や、業務効率の向上を目指す企業にとって、この調査結果は今後の方針策定への重要な一助となるでしょう。