アユでつながる岐阜と沖縄
岐阜県と沖縄県間の繋がりを深めるため、一般社団法人海と日本プロジェクト岐阜が「アユ」をテーマにした体験学習ツアーを実施しました。2023年8月19日から21日の間、岐阜県の子どもたちが沖縄県名護市を訪れ、リュウキュウアユや川と海について学ぶ内容で、自然環境の大切さを感じられる貴重な機会となりました。このイベントは、次世代に豊かで美しい海を引き継ぐことを目的としており、日本財団の「海と日本プロジェクト」の一環です。
イベントの概要
今回の活動は、岐阜県と沖縄県の交流を促進するために企画されました。岐阜からの子どもたちが沖縄を訪れる「沖縄編」においては、名護市の川やサンゴ礁を体験し、川と海の関係の重要性を学びました。参加者は主に岐阜市立藍川北学園の6年生で、男子12人、女子8人の子どもたちに加え、5名の教育関係者が同行しました。沖縄側からは20名の小学生が参加し、さまざまな活動を通じて交流を深めました。
川の観察
活動の初日、岐阜の子どもたちは「岐阜と沖縄の川くらべ」を実施。岐阜県で有名な長良川と、リュウキュウアユがかつて生息していた名護市の源河川をクイズ形式で比較し、その後実際に源河川を観察しました。子どもたちは、石や植物の違いを見つけながら、互いの川が持つ特性を体感することができました。また、生き物の多様性について学び、自然環境を守る意義も感じることができました。
絶滅したリュウキュウアユの背景
名護市教育委員会の村田尚史さんから、リュウキュウアユについて貴重な講演が行われました。この魚は沖縄本島にのみ生息していましたが、1978年に最後の目撃例があり、その後絶滅してしまったとのこと。村田さんはリュウキュウアユが絶滅した理由や復活を目指す取り組みについて話し、環境保全の重要性を強調しました。子どもたちは、この話を聞いてアユが岐阜の県魚であることを実感し、環境を守るための行動の必要性を再確認しました。
夜の海のプランクトン採集
夜には海辺を歩き、プランクトンを採取しました。「しかたに自然案内」の鹿谷麻夕先生に、プランクトンの採取法を学びながら、川で生まれたアユの赤ちゃんが海を経て成長する様子を知りました。波の音や潮の香りを感じながら、子どもたちは海の生態系の重要性に触れ、自然に対する興味がさらに深まりました。
サンゴ礁の探検
2日目は、シュノーケリングを通じてサンゴ礁を観察しました。美しい青い海の中には、多くの魚やヒトデが見られ、子どもたちはその神秘的な世界に感動しました。インストラクターからは、海水温の上昇がサンゴの白化現象を引き起こしていることも教わり、海が抱える問題についても知識を深めました。
琉歌での表現
様々な体験を経た後、子どもたちは自分たちの気持ちや学びを琉歌で表現しました。この独特な詩歌スタイルを通じて、沖縄での経験を短冊にまとめ、グループでの作品作りにも挑戦しました。作った琉歌は感情豊かに沖縄の自然を称賛し、一体感を生むものでした。
ビーチクリーンと環境保護
最終 日のプログラムはビーチクリーンでした。子どもたちは沖縄の友達と協力し、海岸のゴミを拾い集めました。ペットボトルや小さなプラスチック片を分別しながら、岐阜の川では見られないガラスや陶器片の存在に気づき、川と海の違いを感じ取ることができました。
未来への約束
別れの時、初めは緊張していた子どもたちも名残惜しさを感じ、岐阜での再会を約束しました。約3週間後には沖縄の子どもたちが岐阜を訪れ、さらなる交流が予定されています。この素晴らしい活動は、海と川のつながり、そして自然環境を守ることの重要性を伝える絶好の機会でした。
参加者たちの感想
参加者からは、海の美しさや学んだ内容への感謝の声が多く寄せられました。シュノーケリングや自然環境への理解が深まった体験は、これからの彼らの行動に大きな影響を与えることでしょう。このような交流を通じて、環境意識の向上や地域間の絆が形成されることが期待されています。
活動を主催した海と日本プロジェクト岐阜の努力が、今後の世代にも受け継がれることを願っています。彼らの学びが、未来へつながる大切な一歩となることでしょう。