障がい者主導のAI開発システムの誕生
住友電工株式会社と株式会社クオルテックは、障がい者を中心に据えたAI開発を実現するための先進的なシステムを共同開発し、2025年度人工知能学会全国大会で「優秀賞」を受賞しました。これは、知的障がい者の方々がAI分野での業務を広げる契機となる取り組みです。
共同研究の背景と目的
クオルテックの牛尾香澄氏と植木竜佑氏は、住友電工の星名豊氏と共に、データ解析ソフトウェアの開発過程で直面した教師データの取得に関する共通の課題を解決するために手を携えました。このプロジェクトでは、知的障がい者の方々が中心に活躍し、アノテーション作業を進めることで新たなデータ解析手法を確立しました。
Human-in-the-Loop機械学習システム
開発された「Human-in-the-Loop」機械学習システムは、人間のフィードバックを活用して、教師データの作成から学習、検証に至るまでのサイクルを効率的に回すことができます。この仕組みによって、知的障がい者の方々が専門的な指導なしにAI業務に関与できることが証明されました。
実験と成果
検証実験では、すみでんフレンド株式会社の協力を得て、知的障がい者の方々がAIタスクを全員成功裏に完遂しました。特に、操作性の評価が非常に高く、アノテーションの精度は健常者と同等であることが確認されました。これにより、知的障がい者の方々もAIモデルの作成を担える見込みが広がりました。
新たな可能性
これまでは、知的障がい者の方々の役割がアノテーション作業にとどまっていましたが、本研究を通じてAI技術の発展とともに仕事の幅が拡がり、社会への貢献が期待されます。クオルテックと住友電工は、今後も知的障がい者の方々のAI分野へのインクルージョンを進め、さらなる研究開発を推進していくことでしょう。このプロジェクトは、技術の革新と人を中心にした社会の実現に向けた重要な一歩です。
会社概要
このプロジェクトを展開した株式会社クオルテックは、半導体や電子部品の不良解析、信頼性試験の受託、新技術の開発に特化しています。大阪府堺市に本社を置き、様々な業務に対応する柔軟な体制が特徴です。詳しくは公式サイトをご覧ください。
公式サイト
本研究の論文については、今後の発表をお楽しみに。