金融機関が直面する量子計算機時代の暗号対策に向けた取組み

2024年7月18日、中央合同庁舎第7号館にて「預金取扱金融機関の耐量子計算機暗号への対応に関する検討会」の第1回が開催されました。この会議では、今後の金融機関に求められる量子計算機に対する暗号技術の適応について、出席メンバーから多角的な意見が交わされました。

会議の概要



初の会議にて、寺井座長(株式会社みずほフィナンシャルグループ)が開会の挨拶を行い、続けて事務局からの説明がありました。主な議題は、NISTが選定した耐量子計算機暗号候補についての技術評価レポートと、それに基づくガイドラインの策定が進められることです。これらの情報は今後も定期的に更新される予定であり、金融機関はこの新しい技術に柔軟に対応しなければならないことが強調されました。

量子コンピュータの導入について



特に重要な点として、金利や利便性といった面で顧客に与える影響も考慮しなければならないとされています。量子コンピュータが実用化される時期は定まってはいないものの、2030年頃までに普及する可能性があるため、金融機関は10年から20年の時間をかけてシステムの移行を計画する必要があります。

また、座長からは「自助・公助・共助」の観点が提案され、金融業界全体で協力し合ってその課題に向かうべきだという見解が示されました。特に、業態による違いや共同での取り組みについても議論が活発に行われました。

パートナーシップと共同作業の重要性



この検討会では、金融機関が独自に取り組むべき課題はもちろんのこと、共同で解決すべき問題点についての意見も述べられ、リソースの共有についても考慮する必要があると指摘されました。

特に、日本の金融機関はITインベントリの整備が遅れているため、欧米の事例を参考にしつつ、優先順位を考えた新たなアプローチを検討することが求められました。さらに高齢者や中小企業といった特定の顧客層への配慮を持ちながら、顧客に必要性を理解してもらうための努力が必要であるとの見解もありました。

結論



今後の金融業界において、量子計算機に対応した暗号システムの導入は避けて通れない道です。そのため、専門家たちが集まり、様々な視点から有意義な情報交換を行うことは重要です。検討会を通じて示されたアイデアや知見は、未来の金融システムの安定に向けて必要不可欠なものであり、全体としての取り組みを進化させる助けとなるでしょう。

各金融機関が今後も量子暗号への対応について真摯に取り組むことを期待しています。サイバーセキュリティの向上はもちろん、顧客の信頼を得るための基盤となることでしょう。

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