100年間の歴史を振り返る
兵庫県尼崎市の杭瀬地区に位置する第一敷島湯は、今年創業100周年を迎えた銭湯です。地域住民にとって、心身を癒す大切な場所として親しまれてきました。築100年の古い建物ですが、外観は大切に補修され、内装は昭和の雰囲気を色濃く残しています。1985年の阪神・淡路大震災でも耐え忍び、地域の人々に安らぎを提供した歴史を持っています。それにより、第一敷島湯は単なる銭湯以上の存在、コミュニティの憩いの場として地域に根付いています。
銭湯の現状と抱える課題
しかしながら、銭湯文化は近年、多くの課題に直面しています。第一敷島湯も例外ではなく、原油価格の高騰や設備の老朽化に頭を悩ませています。特に、2014年の原油価格の急騰によって経営が厳しくなり、湯沸かしの燃料を重油から廃材に切り替える必要がありました。この選択肢は、環境保護の観点でも良い解決策ですが、廃材を再利用するためには手間がかかります。
さらに、杭瀬地区ではかつて6軒の銭湯が存在したものの、経営者の高齢化や設備の劣化に日に日に廃業する店が増え、残るのは第一敷島湯を含む3軒となりました。この厳しい状況は、地域のコミュニティにも影響を及ぼし、銭湯がなければ地元住民同士のつながりが薄れてしまう恐れがあるのです。
浴室の配管故障と新たな試み
さらに、2023年1月には、漢方薬湯として親しまれていた浴槽の配管が故障してしまい、修理が必要になるという事態も発生しました。銭湯業界全体が厳しい情勢の中で、これらの問題が重なってしまいました。
しかし、第一敷島湯は決してあきらめません。地域の皆様に漢方湯の文化を受け継いでもらうため、2023年3月24日からクラウドファンディングを立ち上げました。このプロジェクトを通じて、地域の銭湯を守るための資金を募り、漢方湯を復活させることを目指しています。参加者はオンラインプラットフォームCAMPFIREを通じて支援を行うことができます。
未来に残したい夢
私たち第一敷島湯には、100年先のビジョンがあります。具体的には、以下のような夢を抱いています。
- - フロント形式の受付に改装し、訪れる人々がより快適に過ごせる空間を提供したい。
- - 銭湯内で小さな喫茶店やたこ焼き屋を開き、人々が交流できる場所を作りたい。
- - 季節に応じたリフレクティブな場所を提供し、夏にはアイス、冬にはコタツを楽しめるようにする。
- - ライブイベントや落語寄席も開催するためのウエルカムステージを設置したい。
これらの夢は、地域の活性化や住民とのふれあいを重視したもので、第一敷島湯の新たな一歩につながるものです。地域の皆様をより一層大切に思い、交流の場を増やしていくことで、銭湯文化の復活を目指しています。
まとめ
第一敷島湯は銭湯文化の存続を目指し、次の100年へと踏み出す準備を着実に進めています。地域コミュニティの重要な一部である銭湯として、未来につなげるための努力を続けていく所存です。私たちの取り組みに、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。地域の皆様のご協力をお待ちしています。