ICIによるがん免疫療法の10年
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、がん治療の新たな選択肢として、2014年に国内で承認されました。最近、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、がん治療に関与する医師や患者を対象にした調査を通じて、ICIの評価や期待をまとめました。この研究は、ICIの導入から約10年が経過したことを受けたものです。
医師からの評価
調査によれば、医師の約90%がICIが新たながん治療の選択肢としてその地位を確立していると評価しています。また、今後のICIへの期待として、約半数の医師が「治療効果の向上」を挙げていあります。具体的には、他の治療法との併用により、効果が向上することや、患者数が増えることへの期待が見てとれます。さらに、がん免疫療法については、科学的証拠が不十分な治療法が存在するため、約40%の医師がエビデンスに基づく厳格な監査や措置が必要であると答えています。
患者からの声
患者に対しても同様の調査が行われ、ICIを受けた経験のある患者さんの約70%がこの治療法を高く評価し、「治療の選択肢が増えてうれしい」と述べています。また、患者さんは、他のがん患者にこの治療法がより広く知られることを希望しています。さらに、患者の約半数がICIの治療効果の向上が期待されており、特に転移性がんの制御や副作用の軽減に強い関心を寄せていることがわかりました。
情報の重要性
この調査では、医師・患者ともに正確な情報提供が求められていることが浮き彫りになりました。多くの患者ががん免疫療法についての正しい理解を得たいと考えており、医師の3割以上が、「正しく理解できる」「広く知らしめる」情報提供が必要だと感じています。
情報提供の重要性は、特にエビデンスに基づかない治療方法が浸透している現状において際立ちます。このことから、正確で信頼できる情報を患者に提供する必要性が高まっていると言えるでしょう。
今後の展望
今後のICIに対する期待は高まっていますが、医師や患者が同時に求めているのは、エビデンスに基づいた治療法の拡充とその情報の透明性です。きちんとした情報提供を行うことで、患者は自らの治療選択を的確に行うための支援を受けられることになります。
この調査の結果は、がん治療の今後の方向性を示す重要な指針となるでしょう。医師や患者の声を反映することで、より良い治療環境が整備されることを期待します。
調査概要
【調査期間】2024年6月21日〜2024年6月28日
【対象】医師100名、がん患者900名
【手法】オンライン調査
このように、がん免疫療法の未来に向けた重要な一歩が踏み出されています。