ASEAN関連首脳会議における日本の外交戦略と展望

令和6年10月11日、日本の石破総理大臣がASEAN関連首脳会議に出席し、初めての外交の場となりました。この重要な会議にはインド太平洋の主要国の首脳が集まり、日本とASEANの関係を更なる高みに引き上げるための意義深い機会でした。

石破総理は冒頭発言で、ASEANと築いてきた友好関係を土台に、今後の協力を強化する決意を表明しました。また、参加国からは日本とのパートナーシップに対する期待が寄せられ、協力の可能性が示されました。特に、人的交流やデジタル・交通インフラ、エネルギーといった多岐にわたる領域での連結性の強化が重要なテーマとなりました。

さらに、総理はASEANにおいて防災と感染症対策の専門家を派遣し、地域の強靭性を高める取り組みを進める考えを示しました。日本の取り組みがASEAN地域の発展に寄与することを明言し、相互に支え合う関係の構築を目指していることが強調されました。

ASEANと日本との間で進められる新たな協力分野としては、GX（グリーン・トランスフォーメーション）やDX（デジタル・トランスフォーメーション）があります。この2つの分野は、地域の持続可能な発展に寄与するために欠かせないものであり、日本とASEANはこれらに協力して取り組むことを確認しました。

安全保障の課題についても議論が行われ、日本は海洋安全保障の強化に向けて巡視船艇の供与などを通じてASEAN諸国と協力する意向を示しています。経済安全保障やサイバーセキュリティの分野でも連携を強化する必要性が示され、これらの取り組みが地域の平和と安定に寄与することが期待されています。

また、北朝鮮や東シナ海、南シナ海に関する国際情勢についても触れ、国連の原則を尊重し力による現状変更を拒否する姿勢を明確にしました。このような発言は、地域の安定を図るための基本的な立場を示すものであり、ASEAN諸国との共通の理解を深めるための一歩となります。

石破総理はアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の第二回首脳会合を議長として開催し、経済成長とエネルギー安全保障を両立する形でネットゼロ目標に向けた行動計画を採択しました。これにより、ASEAN諸国と日本が共に進むべき方向性が確認され、持続可能な発展のための協力が求められています。

個別の二国間会談も行われ、韓国、中国、オーストラリア、インドなどの首脳と意見交換を行う中で、地域情勢への理解を深め、経済的な連携を一層強化することで一致しました。特に韓国とは、人的交流の推進と経済連携の強化を確認し、中国とは建設的な関係構築を模索していく意向が表明されました。

ASEAN関連首脳会議への参加を通じて、石破総理は国際的な舞台で日本の立場を強く示し、各国との協力による新たな時代のニーズに応える方針を示しました。この外交の結果が、今後の日本とASEAN諸国との関係の深化に繋がることを期待しています。