サントリー、新しいバイオパラキシレンペットボトルを導入
サントリーグループは、使用済み食用油(廃食油)を原料としたバイオパラキシレンを使い、新たにペットボトルを製造することを発表しました。この取り組みは、環境保護に寄与する重要なステップであり、従来の化石燃料に依存しない持続可能な素材の導入を意味します。このバイオパラキシレンを使用したペットボトルは、2023年11月から順次市場に導入される予定です。
背景と利点
ペットボトルの主成分であるPET樹脂は、モノエチレングリコール(MEG)とテレフタル酸(TPA)から構成されています。サントリーはすでに2013年から、MEGの原料を植物由来素材に切り替え、「サントリー天然水」にその技術を応用してきましたが、今回の目新しさは、より大きな割合を占めるTPAにバイオパラキシレンを導入する点です。これにより、ペットボトルの製造プロセス全体でCO2排出量を大幅に削減することが期待されています。
サプライチェーンの構築
この新たな製品の実現には、ENEOSや三菱商事などとの連携が不可欠でした。使用済み食用油から製造されるバイオナフサを調達し、そのナフサを基にバイオパラキシレンを生成するというグローバルなサプライチェーンを確立しました。特に、バイオナフサは持続可能な航空燃料(SAF)の製造過程で得られるため、今後の拡大が見込まれます。
さまざまな企業との連携
このプロジェクトには多くの企業が関与しており、各社が異なる役割を担っています。三菱商事はサプライチェーン全体のマネジメントを行い、NESTEは廃食油からバイオナフサを生産しています。三井化学はバイオナフサから中間原料を製造し、ENEOSはその中間原料からバイオパラキシレンを生産するのです。最後に、Indorama VenturesがPET樹脂の製造を担当し、最終的にはサントリーグループがその樹脂をペットボトルとして成型します。
環境への取り組み
サントリーグループは創業以来、持続可能な社会の構築にシフトしてきました。特に、プラスチックの平日利用に関しては「プラスチック基本方針」を策定し、2030年までに全てのペットボトルをリサイクル素材または植物由来素材に完全に切り替える目標を掲げています。そのために、20年以上前からペットボトルの軽量化を進め、さらには「ボトルtoボトル」リサイクルの取り組みも行っています。
サントリーグループが提案する新しいペットボトルは、持続可能性と環境保護の観点から画期的なものであり、他の企業や業界にも良い影響を与えることを期待されています。規模の経済を生かしてこの技術を確立し、循環型経済を実現する道筋を示すことが期待されています。この新たなペットボトルの導入は、世界的にも注目されるトピックとなるでしょう。
今後の展開に目が離せません。サントリーは、これからもSDGs達成に向けてさまざまな取り組みを続けていく姿勢を示しており、業界全体の変革を促進する役割を果たすことでしょう。