幸せな居場所をつくるための挑戦
「困った」ときには「つくっちゃおう」というマインドで、障がいのある人も、そうでない人も共に暮らす居場所を作るためには何が必要か、岩手県遠野市での取り組みが光ります。ここでは、労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団の一環として、遠野地域福祉事業所「わの里」が誕生し、障がいのある方々の福祉向上に向けた活動が続けられています。
12月9日、障害者の日を迎えて
毎年12月9日は障害者の日。この日は1975年に国連で「障害者の権利宣言」が採択されたことに由来しています。この日を契機に、より良い環境を模索する動きが広がっている中、実際には障がい者の権利はまだまだ不十分な状況にあります。多様性を尊重する社会の実現を目指し、遠野市の「わの里」が立ち上がったのです。
障がい者福祉の歴史的背景
障がい者支援活動を1980年代から続けているワーカーズコープは、様々な事情を持つ方々のために、地域の課題を解決しようと活動しています。2003年に知的障害者の就労を促進するための講座を開設したことをきっかけに、より多くの支援の必要性を痛感し、2007年には自立支援センターを設立しました。
また、障がいのある子どもたちに特化した「放課後等デイサービス」も2005年から展開され、全国的に事業が広がるきっかけとなったのです。
地域の声から生まれた「わの里」
遠野市では、障がい者の支援が不足しており、当事者やその家族は苦しい状況に置かれていました。そこで「いっぽいっぽの会」という自助グループを結成し、地域内の問題を解決するための協力を進めました。こうした動きから、ワーカーズコープとの協力が生まれ、ついに2018年に「ぐんぐんはうす」そしてその後すぐに「こむこむはうす」が開設されました。
様々な活動を通じて
このデイサービスでは、厳しい状況にある子どもたちとその家族に放課後の居場所と安心感を提供しています。さらに「わの里」の設立により、障がいのある人々が活き活きと働ける環境が整いつつあります。すでに多くの地域住民がこの取り組みに参加し、コミュニティの一員として支援を行っています。
地域との連携で成し遂げたこと
「わの里」では、作業場も地域の協力でリノベーションされ、心地よい働き場所を提供しています。ここではスイーツ製作や農作業など、多岐にわたる活動が行われており、参加者は自分のペースで働くことができるため、満足度が高いと感じられています。利用者からは「仕事を通じて充実した日々を送っている」「毎日が楽しみになった」といった声がたくさん寄せられています。
今後は、さらに多様なニーズに応えるための生活支援や自立訓練の充実が検討されています。地域マルシェなどの地域貢献活動も進行中で、障がいのある方々が自分の手で作り出す喜びを感じられる場の整備に注力されています。
障がい者と地域の関わり
「わの里」が進める活動の根底には、地域住民との密な連携があります。今後もこの取り組みは、地域全体を巻き込みながら進められる予定です。住宅地の中にあるこの居場所が、随時開かれたカフェや地域の集いの場にも機能していき、みんなが集えるような場所づくりを目指していきます。障がいの有無にかかわらず、誰もが心地よく過ごせる地域社会の実現が望まれています。
未来に向けて
労働者協同組合ワーカーズコープ・センター事業団は、今後も全国各地において、障がいのある人々が活き活きと過ごせる支援の拠点を作り続ける計画です。地域を支えることが、障がい者の福祉と地域活性化に繋がるという希望を新たにして、さらなる取り組みを続けていきます。