オムロンとNTTドコモビジネス、企業間データ連携の新時代を切り開く
オムロン株式会社とNTTドコモビジネス株式会社は、新たな「セキュアデータ連携ソリューション」の提供に向けて連携を開始しました。このソリューションは、製造現場と外部ネットワークをつなぎ、企業間のデータのセキュリティを強化し、効率的なデータ連携を実現します。両社の共同の取り組みにより、製造業界におけるデジタル化の波がさらに加速することが期待されています。
1. 連携の背景と重要性
現代の製造業では、Industry4.0やIoT、AIの普及に伴い、サプライチェーンがグローバル化し、複雑化しています。企業は生産性やエネルギー効率の向上を求められ、納期の短縮やコスト削減が急務です。この過程で、安定した事業継続と競争優位性を維持するためのサプライチェーン全体のレジリエンス強化が求められています。しかし、現場ではデータの収集が困難であったり、IoTに対する専門人材が不足するなどの課題が山積しています。
また、各企業が異なるデータ形式やセキュリティポリシーを採用しているため、オープンなデータ連携の実現が難しい状況です。このような背景から、企業間のデータ連携を進めるためには、新たな仕組みが不可欠であることが認識されています。
2. 新たなソリューションのプロファイル
オムロンの「データフローコントローラ」は、製造現場のデータの収集と可視化を容易にするためのエッジコントローラです。一方で、NTTドコモビジネスは、高品質なネットワークサービスやセキュリティを兼ね備えたNaaSを提供しています。この二者が手を組むことで、製造現場のデータを安全にクラウドやデータスペースへとつなげることが可能になるのです。
この「セキュアデータ連携ソリューション」により、製造業が抱えるカーボンニュートラルへの対応やデジタル化の促進が期待されています。具体的には、企業間で信頼性のあるデータの共有・連携ができる基盤を構築することが可能となります。
3. 今後の展開
オムロンとNTTドコモビジネスは、この連携をさらに強化し、国際データスペースの社会実装に寄与するため、東京大学大学院と共同で取り組む予定です。東京大学では、データスペース技術の国際テストベッドが設立され、学術界と実業界が協力しながら、製造業やIT業界における新たなデータ利用方法の開発が進められます。
企業間のデータ連携は今後、デジタルトラステッドネットワークの構築へと進化し、特に製造現場においてはAIと自律的にデータを交換し合う仕組みの導入を見越した取り組みが加速します。これは、Manufacturing-Xの早期実装に向けて大きな一歩となるでしょう。
4. 共創の重要性と未来の取り組み
この連携により、製造現場からのデータ収集・利活用が円滑に進み、より多くの企業が新たなソリューションにアクセスできるようになることが期待されています。また、国際的に進むデータ連携の潮流に乗り遅れないよう、日本の製造業も積極的に関与する必要があります。
オムロンとNTTドコモビジネスは、このソリューションを通じて、サステナブルなモノづくりを支援し、未来の製造業の在り方を見据えた取り組みを進めていきます。このように、企業間の協力と共創が、新たな価値を創造する鍵となる時代が近づいているのです。