課長の燃え尽き実態調査
株式会社タバネルが実施した全国調査から、驚くべき結果が浮かび上がりました。全国の企業で働く課長400人を対象にした調査によると、なんと3人に1人が「燃え尽き度が高い」と回答しています。この高い燃え尽き状態は、従来の認識とは異なり、業務の負担だけではなく、より構造的な問題から来ていることが明らかになりました。特に、「キャリアの行き止まり感」と「役割の曖昧さ」が大きな影響を与えているという結果です。
燃え尽き度の実態
調査では、燃え尽きの3要素とされる「情緒的消耗感」「脱人格化」「個人的達成感の低下」の5つの設問が用意され、これに基づいて分析が行われました。その結果、いずれの設問でも回答者の35%を超える割合が「当てはまる」「やや当てはまる」と回答しました。さらに、3つ以上の項目に該当した課長も35%に達し、非常に深刻な状況が伺えます。
燃え尽きの原因
1. キャリアの行き止まり感
調査結果によると、「キャリアの行き止まり感」は燃え尽きの主因となっており、業務負担の約4倍もの影響力を持つという結果が出ています。この要因は、企業において成長やキャリアの柔軟性を感じられないことを意味します。
2. 役割の曖昧さ
次に、役割の曖昧さも重要な要因です。課長が自分の位置や責任が不明確な場合、それがストレスとなり業務に影響を与えます。この傾向は特に、課長層が企業の状況に適応するためには難しい要因であります。
課長群の疲弊の解消に向けた提言
このような状況を打破するためには、企業のマネジメントシステムの根幹からの見直しが必要です。以下のアプローチが提案されています。
提言 ① キャリアの行き止まり感の解消
定期的な評価とともに具体的なスキル向上の機会を設け、日常的にフィードバックを行うことで社員の成長を実感させる。
仕事に意義や目的を持たせるために、業務の工夫や裁量を増やす仕組みを作ることで社員のモチベーションを上げる。
昇進以外にも、高度専門職ルートやメンター役割を設定することで社員の成長機会を多様化させる。
提言 ② 役割の曖昧さの解消
環境の変化に応じたマネジメントプロセス(方針の浸透、意思決定、情報共有等)を見直す。
課長の業務内容や責任範囲を整理し、他部門との関わりを可視化することで負担を減らす。
チーム内で役割を分担し、複数のリーダーシップを発揮できる体制をつくることで負荷を軽減する。
調査概要と今後の展望
調査は2023年10月22日に、従業員数100人以上の企業に所属する課長に対して実施された結果です。この実態調査を基に、今後企業内のマネジメント意識を高め、組織の構造改革を進める必要性が一層感じられます。
この調査結果が、企業の管理職に対する理解を深め、持続可能な活躍を支える方向への第一歩となることを期待しています。