耐熱全固体ナトリウムイオン二次電池の新たな展開に期待

耐熱全固体ナトリウムイオン二次電池のサンプル出荷開始

日本電気硝子株式会社（以下、NEGS）は、次世代のエネルギー源として注目される耐熱仕様の全固体ナトリウムイオン二次電池（NIB）のサンプル出荷を開始しました。この新型電池は、-40℃から+200℃という広範な温度範囲でも安定して動作する能力を持ち、様々な過酷な環境条件下での利用が見込まれています。特に、宇宙空間、半導体製造、医療機器、環境機器などでその特性が大いに活かされるでしょう。

NIBの特長

NEGSのNIBは、全ての要素が結晶化ガラスで構成されています。これにより、低温での凍結や高温での劣化に強い耐性を実現しました。また、発火リスクや有毒ガスの発生がないため、安全性にも優れています。

さらに、今回NEGSは、ガラス封着技術を用いた耐熱パッケージを新たに開発しました。この技術は、自動車や通信機器など、他の分野で長い実績を持つもので、電池パッケージに応用されたのは初めての試みです。この耐熱パッケージによって、NIBは200℃の条件下でも使用可能となり、さらには200℃を超える温度でもニーズに応じた設計が可能です。

高速充放電の可能性

高温環境では、電池内のイオンの動きが促進され、その結果、室温では実現できないほどの超高速充放電が可能になります。具体的には、200℃環境下で20Cの充放電を実現しており、これは驚異的な性能と言えるでしょう。

商用化の進展

現在、NEGSは全固体ナトリウムイオン二次電池の商業化へ向けた活発な取り組みを続けており、今回のサンプル出荷を契機に、さらなる市場展開を図っています。

期待される応用分野

このNIBは、高い安全性と設計の自由度が求められる電子機器やモビリティ向けの定置用電池としての利用が期待されています。また、光や熱、振動などからエネルギーを生成するエナジーハーベスティングシステムにも好適です。

さらに、300℃のハンダリフロー処理にも影響を受けないため、電子回路基板への組み込みも可能であり、特に100℃以上の高温で使用されるデバイスのワイヤレス化や、腐食性ガスの発生が問題となる環境への適用も考えられています。

会社の概要

設立から70年以上の歴史を持つ日本電気硝子株式会社は、特殊ガラスの製造を手がける業界のリーダーです。半導体やディスプレイ、自動車、医療、エネルギーなど多岐にわたる分野での成功実績に裏付けられた技術力により、NEGSの製品は評価を受け続けています。

今後、この耐熱全固体ナトリウムイオン二次電池が様々な産業の進化に寄与することが期待されています。