フローレンスが新たに取り組む政策提言
認定NPO法人フローレンスが、株式会社kubell代表の山本正喜氏が設立した「山本正喜ポリシー基金」に採択され、虐待の世代間連鎖の解消に向けた政策提言活動を本格的に開始します。この基金は公益性の高い活動を通じて、国の制度や仕組みを改善するリーダーを支援することを目的としており、フローレンスの取り組みが代表的な例として評価された形です。
背景と課題
フローレンスはこれまで、こども宅食事業や特別養子縁組事業を通じて、多くの家庭と関わりながら、虐待の過去を持つ親に寄り添い支援を行ってきました。しかし、その中で気がついたのは、多くの親が自身のこども時代に虐待を受けていたという現実です。このような経験が、次の世代にも影響を与える「虐待の世代間連鎖」を生じさせていることを深刻に受け止めています。
ACEサバイバーとは?
「ACEサバイバー」とは、幼少期に虐待やネグレクトなどの逆境的体験をした人々を指します。研究によれば、ACEサバイバーは、虐待やネグレクトが発生する可能性が高く、育児のストレスも増大していることが示されています。これは、彼らが抱える孤独感やサポートを得られない状況に起因しています。
虐待は氷山の一角
毎年、全国で約22万件の児童虐待相談が寄せられていますが、実際にはそれ以上の数の虐待が隠れていると考えられています。虐待の現状を放置することは、未来の親にも同様の問題を引き起こすことになりかねません。本当に重要なのは、今起こっている虐待に目を向け、その予防策を講じることです。
政策提言の内容
フローレンスは、「虐待」を理解し、ACEサバイバーを支援し、現在の支援体制を充実させるための三つの柱を掲げています。これに基づいて次のような具体的な提言を行います。
1.
「子育て講座」の実施
すべての親が子育てに必要な情報を学べる講座を提供し、虐待としつけの違いを理解することを助けます。
2.
オンライン相談支援
ACEサバイバーである親へのオンライン相談支援を強化し、早期に必要な支援が届くようにします。
3.
トラウマケア体制の改善
トラウマケアの普及とその費用負担を軽減し、より多くのACEサバイバーが利用しやすくすることを目指します。
4.
社会的養護自立支援拠点事業の運用改善
未経験のACEサバイバーも対象とした支援体制を整備し、より多くの支援を届けるための改善を提言します。
今後の展望
フローレンスにとって、虐待の世代間連鎖の問題は非常に困難でありながら社会において最も重要な課題です。この問題を広め、理解を促すため、今後も国や自治体と連携しながら提言内容を強化し、実現に向けて努めていきます。
フローレンスは、未来を担うこどもたちを守るため、尽力し続けます。基金からの支援をもとに、虐待のない社会を目指して、着実に一歩一歩進んでいく所存です。