NABLASとNTT東日本が進める偽情報対策技術の開発と実証実験の展望

NABLASとNTT東日本が取り組む偽・誤情報対策技術

NABLAS株式会社とNTT東日本の両社は、総務省の事業において、偽・誤情報に対抗するための新しい技術の開発と実証を行うことになりました。この取り組みは2025年8月25日から始まり、電話音声フェイク検知および自治体向けのトータルな偽情報対策を含んでいます。

背景と目的

急激に進展する生成AI技術は、誰もが高精度な音声や映像を作り出せる環境を整えました。しかし、この技術の悪用による偽情報や詐欺行為は深刻な社会問題へと発展しています。特に、生成AIによるフェイク音声を用いたなりすまし電話は、従来の詐欺手法に比べて遥かに巧妙で、被害が拡大しています。さらに、SNSや動画共有サイト上での偽情報が政治や経済、災害対応などさまざまな分野に混乱をもたらしています。これらの課題に応えるために、偽情報を見破る技術とその実用化が急務です。

取り組みの内容

1. 電話音声フェイク検知技術の開発・実証

- 最新の音声合成技術に対応した高精度な電話音声フェイク検知機能の開発。
- 通話環境においても常に高い検知精度を実現する技術の確立。
- 完成した技術を実際の電話アプリに組み込み、実際のサービス上での動作検証を行います。具体的には、AIによって作成された音声を流し、条件に応じてその音声がフェイクとして検知できるかどうかを試験します。

2. 自治体向け偽・誤情報総合対策の開発・実証

- 信頼性の高い情報投稿者を識別する技術、DID/VCの開発。
- 偽画像や偽映像を特定するための技術を開発。
- 情報が拡散された際には、電子透かし技術を駆使して改ざんの有無を確認し、正確な情報かどうかを判定するためのファクトチェックAIエージェントの開発を進めます。これらのシステムは長野県伊那市にて実証実験が予定されています。

コンソーシアム各社の役割

NABLASはプロジェクトの管理と技術開発を担当し、NTT東日本はフェイク検知システムの開発を主導します。それぞれの専門技術を駆使することで、偽情報対策の精度向上を図ります。

今後の展望

生成AI技術のさらなる進展に伴い、巧妙な詐欺行為やフェイク情報の拡散が増加することが予想されます。今回の実証実験の成果に基づき、自治体における広報や危機管理業務への技術実装を進めることで、実用性と運用性の向上に寄与することを目指します。信頼性の高い情報が適切に広まり、フェイク情報が拡散しにくい安全で安心な社会の実現に向けた取り組みは今後も続けられていくことでしょう。