AIによる内視鏡外科手術支援システムが承認
国立大学法人大分大学と学校法人福岡工業大学の共同研究により開発された内視鏡外科情報手術支援システム「EIRL Surgery LC」が、ついに医薬品医療機器等法に基づく製造販売承認を取得しました。この画期的な技術は、手術中に内視鏡映像をAIがリアルタイムで解析し、胆嚢周囲の重要な解剖構造を視覚的に提示することで、重篤な合併症の発生を予防することを目的としています。
研究開発の背景
腹腔鏡下胆嚢摘出術は日本国内で年間約12万件も行われており、非常に一般的な外科手術です。しかし、その中でも約600件において胆道損傷が発生しており、これは術後の再手術や長期入院を引き起こす可能性があります。胆道損傷を避けるためには、胆嚢周囲の解剖学的ランドマークを正確に認識することが求められますが、これまでの手法は術者の経験に大きく依存していました。
開発内容と特長
本システムでは、熟練の外科医が経験から得た知識をAIが吸収し、手術中のリアルタイムの映像から胆嚢管や肝外胆管などの解剖構造を高精度で認識することが可能です。AIによるこの解析は、手術映像から重要な構造を提示し、外科医の判断を助ける役割を果たします。さらに、この技術は若手医師の教育や技能習得の支援にも可能性を秘めています。
本システムは、臨床機器試験を経てその有効性と安全性が確認された上で、エルピクセル株式会社の技術を基盤に、オリンパス株式会社製の内視鏡システムと統合されて薬事承認が行われました。
社会における意義
この技術の導入により、外科医間での判断のばらつきを減少させ、安全な手術手技の標準化が期待されています。また、若手医師が熟練外科医の判断プロセスを学ぶことで、技能の習得が効率化されるとともに、全体として医療現場の質の均一化に寄与するでしょう。
猪股雅史教授は、このシステムが「スマート手術時代」の到来を示唆し、医療の質を向上させる手段となることを強調します。一方、徳安達士教授は、AIを用いた術中の意思決定支援に新たな枠組みが生まれたことを嬉しく思い、これが医療の標準化に寄与すると述べています。
今後の展望
今後、エルピクセルとオリンパスの協力と共に、国内の医療機関でのさらなる評価を実施し、保険収載に向けた臨床データの積み重ねを行います。また、この技術は消化器外科だけでなく、呼吸器外科や泌尿器外科、産婦人科など他の領域にも展開が期待されます。国際展開も考慮されており、世界的な医療安全の向上に寄与することが望まれます。
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