東京都国立市には、独自の発想でビジネスに挑む起業家たちが続々と誕生しています。公共機関の支援を受けることで、革新的なアイデアとユニークなビジネスモデルが具現化し、地域経済を活性化させています。ここでは、数名の起業家とその事業についてご紹介します。
まず、70年代に一世を風靡したフォークグループ「日暮し」のリーダーが経営する「カフェシングス」が復活しました。伝説のギタリストである武田清一氏がオーナーを務めていたこのジャズ喫茶は、惜しくも前年5月に閉店しましたが、71歳の旧友たちが協力して事業を引き継ぎ、今年の5月に再オープンを果たしました。新たな世代が楽しむ場所として、こだわりの音響とアットホームな雰囲気を提供し続けています。
次に紹介するのは、松元彩佳さんです。彼女は都庁で14年間勤めた後、育児との両立の難しさを感じ、アクティブな起業家へと転身しました。松元さんが立ち上げた事業は、公務員向けのメンタルヘルスケアを提供するもので、職場の環境改善に寄与することを目指しています。多様化する地域住民のニーズに応えるため、公務員自身がストレスを軽減し、より良いサービスを提供できるようサポートする活動に取り組んでいます。
さらに、和風バインミーを提供する「カフェLapin」も注目を集めています。経営者のはまじまやさんは、慶応大学在学中から夢見ていたカフェの開業を、専門知識を活かし実現しました。大手コンサルティング会社での経験を基に、今までになかった和風のバインミーと沖縄のタコライスを提供するこのカフェでは、若い世代が自分の好きなことを形にする手助けも行っています。
また、全国各地に広がるビズモデル型支援施設でも、多様な起業家が次々と誕生しています。例えば大阪府の「寿司キッチンカー」や、秋田県の「廃菌床で育てるカブトムシ」という新たなビジネスもその一環です。これらの事例は、ひと昔前よりも起業へのハードルが下がったことを示しています。しかし、実際には経営未経験者にとって、新たな事業の立ち上げは決して簡単ではありません。
国立市の「くにたちビジネスサポートセンターKuni-Biz」は、こうした起業家を全面的にバックアップしています。販路開拓や新商品開発に加えて、ターゲットを絞り、事業者の強みを活かす戦略を提案しています。これにより、年間を通じて約20組の新しい起業家が生まれているのです。
このような公的支援が心強い背景には、歴史ある支援手法を用いてきたセンター長の実績があります。今後も国立市から生まれる新しいビジネスが、地域社会に新たな価値を提供することが期待されます。