自治体のDX推進の課題
2021-12-26 21:32:52
全国自治体のデジタル化推進が進まない現実:調査結果から見える課題と未来
全国自治体のデジタル化推進が進まない現実
最近の調査結果によると、日本の自治体におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進捗が極めて遅いことが明らかになりました。この調査は、経済産業省の「DX推進指標」と総務省の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を統合し、全国の地方自治体を対象に行われたものです。調査の目的は、自治体のDX 現状を正確に把握し、今後の推進のための材料を得ることです。
調査の概要と結果
調査は2021年の7月から9月にかけて実施され、1788の地方公共団体から280件の有効回答がありました。有効回収率は15.66%と、思ったほど高くはない結果に。特に注目すべきは、自治体のDX成熟度が民間企業のそれに比べ、著しく低いという点です。実際、調査結果によると、80%以上の自治体が「未着手」とされるレベル1未満に分類されています。これは、戦略的な取り組みがほぼ行われていないことを示唆しています。一方、民間企業では成熟度レベル1以上の企業が全体の70%を占めるため、その差は明らかです。
数字が示す現実
具体的な数字を見てみましょう。自治体の成熟度は、レベル1未満が79.6%、レベル1以上2未満が18.9%、レベル2以上3未満が1.4%という結果に。不安定な現状が浮かび上がります。加えて、3年後の目標設定についても、自治体間でのばらつきが非常に大きいことが指摘されています。消極的な姿勢を見せる自治体がいる一方で、積極的な目標を掲げる自治体も存在。これにより、地域ごとのデジタル化の進捗や内容に大きなギャップが生まれています。
トップのコミットメントが鍵
また、先行している自治体とそうでない自治体の比較も行われました。その結果、特に「トップのコミットメント」に関する成熟度で顕著な差が見られました。先行自治体では、この指標が2.40であるのに対し、その他の自治体では0.31と大きな開きがあります。このことから、リーダーシップの重要性が十分に理解されていない可能性も垣間見えます。
成熟度の高い自治体と低い自治体
興味深いことに、都道府県単位で見ると、成熟度の高い自治体と低い自治体が明確に分類されることがわかりました。特に、人材に関するビジョンや目標の設定において積極的な都道府県もありますが、基礎自治体はその必要性を共有できていません。つまり、自治体間での人材育成や技術共有の取り組みが進展していないのが現状です。
今後の取り組みと課題
この調査結果を受け、当社は自治体向けに「トップのコミットメント」を中心とした支援を強化します。ビジョンの明確化やデジタル戦略の立案、推進体制の構築に努めるほか、オンラインスクール「DX実践道場」を通じて、多くの自治体に実践知を提供する予定です。
まとめ
全国の自治体におけるDXの現状は、急速に進むデジタル社会において非常に危機的なとも言える状況です。リーダーシップの欠如からくる成熟度の低さ、明確な目標に対するばらつき、そして人材育成の不足が、大きな課題として浮かび上がります。今後、自治体が真剣にDXを推進するためには、まずこれらの根本課題を解決していくことが必要です。デジタル化の波に取り残されないためにも、早急な対応が求められています。
会社情報
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株式会社デジタルトランスフォーメーション研究所
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