日本精工株式会社(NSK)は、バイオエコノミー分野での新しいビジネスの創出を目指し、「ちとせグループ」との協業を強化することを発表しました。両社は2021年からバイオマス関連の活動を行い、すでに堆肥製造プラントの販売という成果も上げています。さらに、今回の協業強化では、ちとせグループへの出資や業務提携契約を結ぶことで、事業の拡大と新たなビジネス共創を目指します。
協業の背景とこれまでの成果
2021年に始まったNSKとちとせグループとの関係は、バイオ分野における強みを活かしたビジネス探索を行ってきました。無駄にされてきた未利用バイオマスを、NSKの先進的なメカトロ技術を用いて資源化することを目指してきたのです。この過程で、両社は動物園やリゾートホテル向けの装置を開発し、実際に堆肥製造プラントを2024年春に販売予定です。
今回の協業強化において、NSKはちとせグループの統括会社、CHITOSE BIO EVOLUTION PTE. LTD.に対し、5億円の出資を行います。この出資は、今後の事業展開を見越したものであり、NSKがもつモノづくりの技術とちとせの知見を組み合わせることで、より持続可能な経済社会の実現を図るものです。
新たなビジネス共創に向けた取り組み
さらに、NSKはちとせグループの中核法人であるちとせ研究所とバイオマス循環事業の拡大を目的とした業務提携契約を締結。この契約により、両社はバイオマス循環領域における新しい事業機会の探索を進め、循環型社会の実現に向けた具体的な施策を打ち出すことを目指しています。
リーダーのビジョン
NSKの代表取締役、市井 明俊氏は、「バイオエコノミーの分野は、食料、環境、医療健康など多岐にわたり大きな成長が期待されている」と述べています。そして、ちとせグループとの協力を通じて、NSKの技術が循環型社会の実現に寄与することを強調しました。
一方、ちとせの代表、藤田 朋宏氏は、同グループが有機原料を活用した循環型の養液栽培や排ガス中のCO₂を用いた藻類生産を通じて社会に貢献していることを紹介し、NSKとの技術融合が新たなソリューションを提供すると期待を寄せています。
未来への展望
新たに開発される堆肥製造プラントは、樽型のデザインを採用し、来場者が興味を惹かれる外観になっています。また、微生物の働きを可視化するモニタリングシステムも搭載予定で、資源循環の理解を深めることが期待されています。
バイオエコノミー分野での新たなビジネス創出に向けたNSKとちとせグループの取り組みは、持続可能な社会を築くための大きな一歩と言えるでしょう。今後の展開が楽しみです。