腋窩多汗症と経済
2021-07-16 12:00:07

腋窩多汗症患者の経済負担を解析!新たな治療の必要性が浮き彫りに

腋窩多汗症(わきがきんせいこうしゅ)とは、日常生活に支障をきたすほどの多量の汗をかく病気であり、特にワキの下に多く見られます。しかし、日本ではこの病気がどのような経済的負担を患者や社会に与えているのかは、あまり知られていないのが現状でした。

最近、The Journal of Dermatologyに掲載された腋窩多汗症に関する研究は、全国規模での疾病費用分析を行い、初めてその経済的影響を明らかにしました。この研究によると、原発性腋窩多汗症の患者は、保険診療に関する直接医療費が年間75,036円、衛生用品費が約9,325円、そして生産性損失が大きな問題であることがわかりました。

医療費と衛生用品費


この調査では、腋窩多汗症に対する医療費と個人が負担する衛生用品費の詳細なデータが取得されました。特に、男性の衛生用品費は年平均で10,510円、女性は8,539円と、性別によって違いが見られました。これは、男性の方がより多くワキ汗に関連した製品を使用する傾向があるためだと言われています。

生産性の低下


さらに、生産性に関するデータも収集され、業務を行う中での欠勤率を0.49%、パフォーマンス低下を30.03%という結果が出ました。特に、重症度が高い患者では、パフォーマンスの低下がより顕著であることが示され、労働効率の低下が大きな社会的な問題であることが浮き彫りになりました。

社会的損失の推計


調査結果を基に全国推計したところ、腋窩多汗症の患者による衛生用品費は年間245億円、また生産性損失は月あたり3,120億円に達することが推測されました。これにより、腋窩多汗症は単なる個人の問題ではなく、国全体に影響を及ぼす重要な健康課題であることが認識されます。

新たな治療への期待


本研究を通じて、腋窩多汗症がもたらす経済的負担の大きさに対し、早急な治療の必要性が指摘されています。長崎大学の室田浩之先生は、労働及び学業における能率の低下がアトピー性皮膚炎と同等の影響を与えると述べ、適切な治療があれば、社会生活の質が向上する可能性があることを強調しています。

疾患啓発プロジェクト


この問題に対処するために、科研製薬は「相談しませんか。“ワキ汗”のコト」という疾患啓発プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトの目的は、腋窩多汗症に悩む人々が気軽に相談できる環境を整えることであり、さまざまな情報提供や啓発活動を行っています。

患者支援のための情報サポートサイト「ワキ汗治療ナビ」や公式YouTubeチャンネルも開設され、多くの方に有益な情報を届けることを目指しています。このような取り組みにより、腋窩多汗症に対する理解を深め、さらなる治療法の開発が期待されています。

腋窩多汗症で苦しんでいる方々には、何らかのサポートが必要です。ぜひ医療機関や適切な相談窓口に足を運び、症状について悩まずに話をしてみてください。社会全体が腋窩多汗症に対する理解を深め、患者を支援する環境が整うことを期待しています。

会社情報

会社名
科研製薬株式会社
住所
東京都文京区本駒込2-28-8 
電話番号
03-5977-5001

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