ベトナム・ハノイで画像診断支援AI「EIRL」の実証実験開始
エルピクセル株式会社と一般財団法人海外通信・放送コンサルティング協力(JTEC)は、ベトナムのハノイ郵政病院で画像診断支援AI「EIRL」の実証実験を開始することに合意しました。この取り組みは、地域における医療リソースの逼迫を緩和し、質の高い医療サービスを提供することを目的としています。
医療リソースの逼迫と背景
ベトナムを含む東南アジア地域は、人口当たりの医師数が低く、日本の半分以下の状況にあります。このため、都市の大病院には患者が集中し、医療サービスが不足する状況が続いています。具体的には、ハノイ市の病院では地方から泊まりがけで診察に来る患者に対応するために、放射線科が週7日24時間体制で稼働していることが報告されています。さらに、高齢化や生活習慣病が増える中で、今後は健康診断の必要性が高まり、医療リソースの要求がさらに増加することが予想されています。
こうした現状を受けて、日本以上に画像診断支援AIへのニーズが高まりつつあり、特に「EIRL」の普及が急務となっています。実証実験は、技術的な適合性や診断ワークフローの有効性を試験するための重要なステップです。
実証実験の概要
この実証実験は、VNPT Information Technology Company Limited(VNPT-IT)が提供する医療用画像保管通信システム(クラウドPACS)を使用し、胸部X線、胸部CT、脳MRAにおけるAIの効果を検証します。実験は2025年9月23日から2026年2月28日まで行われ、得られた結果を基に、ベトナムにおける「EIRL」の普及に向けた具体的な計画を立てる予定です。
- - 期間: 2025年9月23日〜2026年2月28日
- - 目的: ベトナム市場向けの技術的適合性を検証し、商用化への道筋を検討
- - 役割:
- エルピクセル: EIRL技術の提供とサポート
- JTEC: プロジェクト管理や現地のニーズ把握
- VNPT-IT: クラウド環境の整備や現地病院との調整
画像診断支援AI「EIRL」について
「EIRL」は、医療画像診断の効率性と精確性を向上させるためのAI技術です。独自のアルゴリズムを使用し、胸部X線やCT、内視鏡検査などの画像データを解析し、医師がスムーズに診断を行える環境を整備することを目指しています。日本国内では、すでに1000以上の医療施設に導入され、1200万件以上の解析実績があります。
エルピクセルは、今後も地域の医療ニーズに応える形で、技術の普及を進めていく予定です。
企業の背景
- - VNPT-IT: ベトナム郵便通信グループ傘下で、デジタルトランスフォーメーションやイノベーションに注力している企業です。
- - JTEC: ICT分野における国際協力の専門団体で、通信や医療分野での技術支援を行っています。
- - エルピクセル: 医療・農業分野において、AIを活用した画像解析技術を開発しています。
この実証実験がうまく進むことで、今後の医療現場におけるAI技術の導入が加速し、ベトナムの医療資源の向上につながることが期待されています。