倒産の新たな波
2026-08-07 11:33:15

従業員退職が引き金となる倒産の増加が顕著に

従業員退職が引き金となる倒産の増加が顕著に



日本国内では、近年、従業員の退職を原因とする倒産件数が増加の一途をたどっており、2026年1月から7月までに判明したデータによれば、具体的には83件の「従業員退職型」倒産が確認されました。この件数は前年同期に比べて約12.2%の増加を示しており、これにより2022年以降、5年連続でこのタイプの倒産が右肩上がりで推移しています。もしこのペースが続くならば、初めて年間100件を超えた昨年の124件を、大幅に上回ることが予想されています。

増加の背景



この現象の背景には、賃上げに関する企業の経済的余力の不足が指摘されています。特に、コストアップ分を価格転嫁できない企業は、「従業員退職型」として倒産するリスクが高まっています。例えば、運送業の東海サービスは、受注環境が厳しくなる中で、ドライバーに対する賃上げを実行できず、相次ぐ退職が経営に深刻な影響を及ぼしました。

業種別傾向



2026年の「従業員退職型」倒産を業種別に見ると、最も多いのがサービス業で22件(全体の26.5%)を占めています。特に、老人福祉施設や美容室など、対人サービスが多く求められる分野での発生が顕著でした。また、建設業は初めて20件を超え、運輸・通信業も前年から増加しています。これらの業種では、職人や営業担当者の退職が事業運営を脅かす要因となっています。

経営の厳しさと労働市場の流動性



2025年以降、企業はコストの上昇に苦しんでおり、それが賃上げや待遇改善を阻む要因となっています。そのため、キーマンの流出が止まらず、企業の持続的な成長が厳しくなっています。特に、熟練技術者や中心メンバーに依存している事業の場合は、労働者のケガや長期離脱が直ちにオペレーション能力の低下を引き起こす傾向にあり、経営リスクが増大しています。

これらの現状を受けて、帝国データバンクが2026年4月に実施した調査では、正社員の半数が人手不足を実感していることが明らかになりました。新たな人材を確保できない採用難と並んで、既存の従業員の退職も大きな経営リスクとなっていることが浮き彫りになっています。

今後の展望



賃上げを実施したくても業績が悪化している企業が多く、その結果として従業員に十分な報酬を提供する余力がない中小企業では、今後も「従業員退職型」倒産が高水準で推移すると考えられます。経営者は、現在の人材流出の動向を真摯に受け止め、待遇改善策を考えることが求められるでしょう。

現在の労働市場の流動性を考えると、企業の経営体力を高めるためには、所定の業績を確保した上で従業員の退職防止策を講じることが急務です。今後の経営戦略においては、単なるコストコントロールにとどまらず、生産性の向上や働きやすい職場作りが重要なテーマとなるでしょう。


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