医療の力とMDRTの役割
2026年4月24日、広島グリーンアリーナで開催された「第56回MDRT日本会大会」に医療法人社団焔の理事長、安井佑氏が登壇しました。この大会は、日本全国から約5,000人のMDRT(Million Dollar Round Table)会員が集まり、「志 for you」というテーマのもと、生命保険や金融サービスに関わる専門家たちが「誰のために、何のためにこの仕事をしているのか」を見つめ直す貴重な機会となりました。
MDRTとは
MDRTは1927年に設立され、現在では世界80カ国以上から700社近くの企業が参加するグローバルな組織です。会員は専門家として高い知識と倫理基準を持ち、卓越した顧客サービスを提供しており、その資格は国際的に認められています。
安井佑の講演内容
安井氏は、自らを「人生の最終章に温かい物語を作る医者」と紹介し、死亡に関する三つの視点を整理しました。1人称としての自分の死、2人称の大切な人の死、そして3人称としての他者の死に言及し、特に大切な人の死を共有することの重要性を訴えました。彼の言葉には、自身の17歳のときに遭遇した父の急死や、ミャンマーでの国際医療支援の経験が色濃く反映されており、これらの体験が「やまと診療所」を開設する原動力になったことを語りました。
最終章をあたたかい時間に変えるために
安井氏は、自身の著書『大切な人が亡くなる前に あなたができる10のこと』に基づき、最終章をより良い時間にするための二つの方法を提案しました。まず一つ目は、大切な人との「触れ合い」です。安井氏は心理的な距離を縮めるための「触れる」ことの重要性を説明し、スキンシップの持つ力について語ります。痛みを和らげる可能性や、コミュニケーションの形としての「触れる」行為は、ただ単に身体的接触だけでなく、心の関係性を深めるものでもあるとしました。
二つ目は、一度自宅に戻る時間を作るという考えです。病院のベッドを離れ、住み慣れた家で過ごすことは、患者が自らの人生を取り戻す手助けになると強調し、実際に自宅や施設で最後を迎える人の割合が増加していることも紹介しました。
家族の背中を押す役割
講演の終盤で、安井氏はMDRT会員が果たせる役割を明確にしました。病気や老いに直面した家族が閉じていく中で、生命保険業界に関わる人々は具体的な一言で家族の背中を押し、「一度家に帰ってみては?」や「触れてみては?」という提案ができる立場にいると語りました。また、亡くなりゆく人から遺された家族への想いを掬い上げることの重要性を訴え、本人の気持ちを言葉にする機会を提供することが、遺された家族にとって大きな支えになることを強調しました。
安井氏の講演は、160万人が死亡するこの社会の中で、少しでも質の高い時間を提供するための具体的なアプローチを提示し、生命保険業界の多くの人々にとって自己価値の再確認となるものでした。私たち一人一人が「死に向き合う」ということが、互いに思いやりを持った、あたたかな社会を作る第一歩になるのではないでしょうか。
まとめ
「人が人を思うあたたかい世の中」を育むために、安井氏は今後も多くの人々にそのメッセージを伝え続けるでしょう。ひいては、MDRTの活動を通して、より良い未来が築かれることを願っています。