シリア出身のAIエンジニアが日本で新たな道を切り拓く
株式会社BonZuttnerの新任執行役員サラマ・イスカンダー氏は、国際的なキャリアを築いてきた珍しい経歴を持つエンジニアです。彼はシリア出身であり、ダマスカス大学でコンピューターサイエンスを学び、世界的なプログラミング選手権に国代表として参加するなど、学生時代からその才能を発揮していました。
卒業後は、さまざまな企業でウェブエンジニアやフルスタックエンジニアとして経験を重ね、レバノンでのプロジェクトマネージャーとしても活躍しました。2018年には日本に渡り、創価大学で情報システム工学の大学院に進学。ここで彼はAI分野の研究をさらに深め、機械学習やディープラーニング、コンピュータビジョンに取り組みました。2020年には修士号を取得し、その後は博士課程に進学しました。
現在、イスカンダー氏は株式会社BonZuttnerにおいて、シリアおよびその周辺国に住むシリア人ITエンジニアに特化した「オフショア開発」事業を立ち上げています。このプロジェクトの目的は、戦争によって職を失ったシリア人に新たな就労機会を提供することと、IT人材不足に悩む日本企業を支援することにあります。彼は自らの経験を生かし、両国にとってウィンウィンの関係を築くことを目指しています。
イスカンダー氏は、自身の経歴やビジョンについて次のように語ります。「レバノンで働いているときにJICAのJISRプロジェクトを知り、日本での留学を決意しました。私の目標は、日本とシリアの架け橋となり、両国の関係を強化して相互利益を生み出すことです。」彼の情熱は明らかであり、その実現に向けた道筋が期待されます。
さらに、現在博士課程での研究は音声変換技術に焦点を当てています。この技術により、英語のネイティブスピーカーの発音を日本人が理解しやすい形式に自動的に変換することができるようになります。つまり、彼の研究はAI技術を駆使して、国際的なコミュニケーションの壁を低くすることにも寄与するのです。
イスカンダー氏は、今後の日本社会やIT産業の変革に自らの研究成果を生かしたいと強く願っています。彼の尽力が、多くのシリア人にとっての希望となるだけでなく、IT業界における新たな人材育成や企業との連携にも繋がることでしょう。
企業情報
株式会社BonZuttnerは、東京都渋谷区に本社を構え、現在6名の従業員が在籍しています。オフショア開発を通じて、シリア人ITエンジニアに就労の機会を提供する取り組みを進めています。このような国際的なカラーを持つ企業が、今後日本とシリアとの架け橋となることを期待しています。
会社概要
今後のサラマ・イスカンダー氏の活躍から目が離せません。この新しい試みは、シリアと日本のIT業界において新たな可能性を開くことでしょう。