NHK大河ドラマ「べらぼう」と新刊『田沼と蔦重』
2025年4月23日、早見俊による新作歴史小説『田沼と蔦重』が新潮文庫より発売されます。この作品は、江戸時代のメディア王・蔦屋重三郎と、政治の世界で毀誉褒貶の激しい老中・田沼意次の物語を通じて、当時の日本の文化や権力の在り方を鮮やかに描写しています。 同時に、NHK大河ドラマ「べらぼう」によって話題沸騰中のこのふたりの活躍に注目が集まっています。
蔦屋重三郎という人物
蔦屋重三郎は、幼少期に両親と別れ、新吉原の茶屋に養子として入ります。彼は新吉原五十間道に書店を開業し、自ら出版した遊郭の案内書「吉原細見」がベストセラーとなり、瞬く間に出版界の寵児と成長しました。 その後、蔦重は日本橋通油町に進出し、さらなる成功を収めます。彼の躍進は、時の老中である田沼意次の思想や政策が大きな支えとなっていました。
田沼意次とその政策
田沼意次は、わずか600石の旗本の家に生まれながら、驚異的な出世を遂げ、5万7000石の大名にまで登り詰めます。彼の政策は、財政難に悩む幕府のためのものであり、特に蝦夷地の鉱山に目を向け、平賀源内という万能の天才をその地に派遣しました。平賀源内は、博物学者であり画家、戯作者でもあり、意次に密かに匿われていたキャラクターです。
暗躍する権力争い
また、田沼意次の名が挙がる一方で、彼の権力を狙う松平定信の影も忍び寄ります。定信は、祖父である八代将軍吉宗の策略で将軍になれなかったと感じ、意次失脚を狙う暗躍を始めます。一方で、蔦屋重三郎は田沼意次を庶民文化を理解できる稀有な政治家と評価し、文人たちや貸本業を通じて築いた情報ネットワークを駆使し、彼のために情報収集に奔走します。
文化との融合
反映するのは、単なる権力争いだけではなく、江戸時代の文化や庶民生活も深く関わっています。蔦屋重三郎は、田沼意次の庶民の理解者としての側面を強調し、江戸の華やかな文化シーンとの関わりも鮮やかに描かれています。
書籍の詳細
この新作『田沼と蔦重』は、長編歴史小説であり、歴史小説作家としての早見俊の力量が存分に発揮されています。66歳で執筆活動に専念することになった彼は、数々の著名な歴史小説を手掛け、多くの読者から支持を受けてきました。
この作品は、蔦屋重三郎と田沼意次、そして平賀源内という型破りで「べらぼう」な男たちの歴史を鮮やかに描き出しています。売り上げも注目される中、早見俊の新たな挑戦に期待が高まります。