賃上げの二極化が明らかに!企業規模による格差の実態と今後の展望
近年、多くの企業が賃上げに励む中、賃上げの実施について企業の規模によって二極化が進んでいるという調査結果が発表されました。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と株式会社NTTデータ経営研究所が実施した調査によると、2024年春闘では企業の平均賃上げ率が33年ぶりに5%を上回り、特に大企業において賃上げが顕著に進んでいます。一方で、中小企業においてはその動きが鈍く、賃上げの頻度と金額において大きな格差が生じていることが明らかになりました。
## 大企業と中小企業の賃上げ実施率の違い
調査の結果、従業員が5,000人以上の大企業では「1万円以上3万円未満」の賃上げを実施した割合が15.3%と、99人以下の小規模企業の5.6%と比較して約3倍の差が見られました。このことは、企業の規模が賃上げの実施に与える影響が大きいことを示しています。特に薪金が上昇する中で、末端の従業員がその恩恵を受けにくい現状が浮き彫りになっており、今後もこの給与格差が経済全体に影響を与えることが懸念されます。
## 従業員の賃上げ満足度は20%未満
さらに注目すべきは、賃上げが実施されたにもかかわらず、従業員の満足度が全体の20%未満であり、過半数が不満を抱えているという現実です。物価の高騰が続く中、多くの従業員が「賃上げが物価上昇に追いついていない」と感じていることから、賃上げそのものが従業員満足を必ずしも向上させていないという結果が導き出されました。これは賃上げが一時的な対策であることを示唆しております。
## 従業員エンゲージメント向上のカギは賃上げ以外に
調査では、賃上げよりも「働き方改革」や「ウェルビーイング経営」などの取り組みが、従業員エンゲージメントや勤続意向を高めるために効果的であることも分かりました。企業がこのような施策に注力することにより、従業員が仕事に対して持つモチベーションや満足度を向上させることが期待できます。このことは、単に賃金の増加を目指すだけではなく、従業員がより良い職場環境で働けるようにすることが、長期的な企業の競争力向上にも繋がるでしょう。
## 物価と賃金のジレンマ
物価の上昇が続く現在、企業は賃上げを行わなければ人材流出の恐れがある一方で、持続的な賃上げが企業の経営に与える影響を慎重に考慮する必要があります。特に中小企業は賃上げに対する余裕がないため、待遇改善を行うことで人材を確保するための新たな戦略が求められています。
このような経済環境下で、企業がどのように従業員を大切にし、かつ持続的な成長を遂げるかは、今後の重要な課題と言えるでしょう。