近畿大学と海洋高校が共育、ノドグロ稚魚の新潟放流を実施
近畿大学水産研究所と新潟県立海洋高等学校が手を組んで、アカムツ、通称ノドグロの稚魚約37,000尾を新潟県糸魚川市の海に放流しました。この取り組みは、地元の漁業者との協力のもと、安定した種苗生産技術の確立を目指したものです。昨年の約8,000尾から大幅に増加した27,000尾が放流されることになり、両機関の努力が実を結びつつあります。
背景と取り組みの概要
ノドグロは「白身のトロ」と称される高級魚で、その美味しさから高い評価を受けています。近畿大学水産研究所は、2015年からノドグロの飼育研究を進めており、2016年10月には人工ふ化に成功しました。これに続き、2018年には海洋高校と共同で養殖技術向上を目的とした「アカムツ等の養殖および種苗生産に関する高大連携協定」を締結し、実践的な研究を行っています。
また、今回の放流に際しては、上越漁業協同組合の漁業者からの特別な協力を得て、天然アカムツの採卵が行われています。このような地域との連携が、研究の基盤を支えています。
種苗生産の実績
近畿大学水産研究所富山実験場では、その革新的な飼育方法の改善により、2022年には約1万尾、2023年には3万尾以上の人工種苗生産に成功しました。一方で、海洋高校ではアカムツの種苗生産を生徒の探究学習として位置づけており、2019年には世界初となる人工授精および45日齢までの飼育に成功しています。このように、両者はそれぞれの側面からアカムツの保全と持続可能な資源利用に貢献しています。
放流の実施
令和6年(2024年)には、さらなる増加を見込んで約37,000尾が新潟の海に放流される予定です。今年の放流に向けて、稚魚は人工授精後に育成され、放流準備が整いました。また、放流後には稚魚の様子を確認するため、着底のチェックが行われる予定で、放流の効果を確かめる貴重な機会となります。
放流は2025年3月18日に行われ、参加者には近畿大学水産研究所の専門家や海洋高校の生徒らが含まれています。このイベントは、地域の漁業者とのさらなる連携を深め、地域資源の保護を進める重要な一歩とされています。
今後の展望
ノドグロの完全養殖と持続可能な資源生産を目指して、今後も種苗の安定生産に向けた技術改善や最適な放流方法の検討が続けられる予定です。これは、地域の漁業にとっても重要なテーマであり、持続可能な漁業の未来に向けた需要が高まります。
両機関の継続的な努力により、地域のアカムツ資源の持続可能な育成が期待される中、今後の研究や取り組みに注目が集まります。これらの活動が、地元海産物の魅力をさらに高めていくことでしょう。
実施概要
- - 日時: 令和7年(2025年)3月18日(火)9:00~14:00
- - 集合場所: 新潟県立海洋高等学校 栽培漁業臨海実習棟
- - 放流魚数: 約37,000尾
- - スケジュール: 9:00~12:00 魚の積み込み、12:00~12:30 出港、12:30~13:30 放流、13:30~14:00 帰港
これにより、海洋高校の生徒にとっても、学びの場となり、実践的な経験が得られることが期待されます。