パキスタン:8年の教育格差
2013-10-07 11:00:24

パキスタン山岳地帯の子どもたちを襲う教育格差:8年間続く学校再建への道のり

パキスタン山岳地帯の教育格差:8年間続く学校再建への道のり



2005年、パキスタン北部を襲った大地震。その爪痕は、いまだ多くの地域に残されています。特に山岳地帯では、地震による校舎倒壊に加え、貧困や地理的制約から、子供たちの教育機会は大きく奪われています。

この問題に取り組むNPO団体「国境なき子どもたち(KnK)」は、地震直後から緊急支援を実施。仮設校舎の設置などで、多くの子供たちに安全な学習環境を提供してきました。しかし、地震から8年が経過した現在も、倒壊した学校の多くは再建されていません。

困難な現状:再建の遅れと女子教育の課題

KnKの活動地であるパキスタン北部マンセラ郡では、地震で1947校もの学校が倒壊。そのうち再建されたのはわずか3割に過ぎません。山岳地帯の険しい地形や、貧困による経済的制約が、再建の大きな妨げとなっています。

さらに、この地域では女子教育への意識が低く、多くの女子児童が十分な教育を受けられない状況にあります。伝統的な文化や、学校までの通学の困難さが、女子児童の就学率の低さに繋がっています。

現地教師の証言:教育への強い意志

マンセラ郡近郊の村で教鞭をとるビビ・ナエーマ先生(45歳)は、自身の幼少期を振り返り、女子教育の困難さを語ります。彼女は、交通手段も乏しい環境の中、マンセラ郡まで通学し、大学卒業を果たしました。彼女の話からは、教育への強い意志と、それを阻む社会構造の壁が垣間見えます。

ナエーマ先生は、1978年頃のこの地域では、女子校はもちろん男子校もほとんどなく、女子教育への関心は皆無だったと述べています。彼女の母は教育の大切さを理解しており、反対する親戚を出し抜き、ナエーマ先生を学校に通わせました。

深刻な教育格差:数値で見る現状

ユネスコ(2009年、2011年統計)によると、パキスタンでは15歳以上の女性の65%(約3200万人)が読み書きができません。これは男性の約2倍にのぼります。初等教育を受けている女子は65%、中等教育を受けている女子はわずか29%です。この現状は、パキスタンにおける深刻な教育格差を示しています。

KnKの支援:教育機会の提供と未来への展望

KnKは、パキスタンの子どもたちに教育機会を提供するため、学校再建や教員研修、保護者への意識啓発など、多様な支援活動を行っています。寄付金は、安全な校舎建設、教員研修、保護者への啓発活動などに活用されます。

11,000円の寄付で、小学校教員や保護者5名に女子教育に関する意識啓発研修を提供できます。9,500円の寄付は、安全な校舎建設に不可欠な土壌調査費として活用されます。

パキスタンの子供たちの未来のために、私たちは持続可能な教育支援の構築を目指し、活動を続けていく必要があります。

会社情報

会社名
認定NPO法人国境なき子どもたち
住所
東京都新宿区下落合4-3-22
電話番号
03-6279-1126

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