eWeLLが訪問看護の未来を切り開く
在宅医療を革新する株式会社eWeLLは、2025年12月から訪問看護専用の電子カルテ「iBow」において、「みなし訪問看護」に対応する新機能を追加することを発表しました。この新機能は、ますます需要が高まる訪問看護の供給を支える重要な役割を果たすものとして注目されています。
日本の医療制度の転換期
日本の医療提供体制は現在、大きな転換期を迎えています。2025年には団塊世代が後期高齢者となり、2040年には高齢者人口がピークを迎えることが予想されます。これを背景に、厚生労働省は「地域医療構想」を推進し、病床機能の適正化と回復期や在宅医療への機能転換を強力に進めています。
特に注目されるのが、病床数の削減と看護配置基準の再配置です。従来の「7対1入院基本料」といった厳しい看護配置基準が維持困難となり、多くの病院が新たな地域包括ケア病棟への転換を余儀なくされています。このような状況は、看護師の新たな活躍の場を求める転換期でもあるのです。
みなし訪問看護の需要
地域医療ひいては在宅医療においては、「病院完結型」から「地域完結型」へとシフトする中で、重度な疾患を抱える患者が在宅で療養する事例が増加しています。そのため、訪問看護の供給不足は深刻な問題であり、解決策として「みなし訪問看護」が注目されています。
この制度では、医療機関に所属する看護師が地域で直接訪問し、高度なアセスメント能力と処置技術を活用することができます。これにより、病床削減を進める医療機関は「雇用の維持」と「職能の活用」が可能となり、地域社会に質の高い医療が提供される仕組みとして期待されています。
実際に厚生労働省のデータによると、「在宅患者訪問看護・指導料」および「同一建物居住者訪問看護・指導料」の算定回数は急増しており、2019年の84万回から2024年には112万回へと増加しています。このことから、みなし訪問看護へのニーズが年々高まっていることが明らかです。
iBowの新機能
eWeLLが開発した「iBow」は全国3,300の訪問看護ステーションで導入されており、優れたユーザーインターフェースと在宅医療に特化した機能が搭載されています。この「iBow」の新機能により、みなし訪問看護に対応するサービス提供票の出力が可能になります。特別な操作は不要で、事業所設定を「みなし指定」に変更するだけで、通常の入力が自動的に特定形式に変換されます。
このように、iBowは訪問看護が行う業務の効率化と質の向上をサポートし、医療現場におけるスムーズな情報共有を実現します。特に、AIによる補助機能は作業時間を大幅に削減する助けとなります。
2040年を見据えた取り組み
株式会社eWeLLは、訪問看護を特化したサービスを提供することで、より質の高い医療と効率的な医療の双方を支えていく姿勢を明確にしています。2040年に向けた医療環境の変化に伴い、みなし訪問看護への対応を強化し、全国11万件以上の病院や診療所へサービスの提供を拡大していく計画です。
私たちの使命は、高齢化が進む社会においても、地域に根差した質の高い医療を届けることです。今後も、在宅医療のプラットフォーマーとしての役割を果たしながら、慢性期医療のデジタル化に貢献してまいります。