ispaceと韓国ハンコム・インスペース社が月探査の新たな一歩を踏み出す
株式会社ispace(本社:東京都中央区)は、韓国のハンコム・インスペース社との間で、月探査データの解析に関する協業の検討を発表しました。両社はこの旨の覚書を締結し、新たなシナジーを模索することを決定しました。これには、月面データの収集能力を持つispaceと、地上局システムおよび衛星画像解析技術に優れたハンコム・インスペースが連携し、デジタルツインやデータ融合技術を駆使することで、高精度な月面解析と可視化を目指すという側面があります。
韓国テジョンで行われた署名式には、ispaceのグローバルアライアンスリードAntonio Stark、西オーストリアのビジネス開発部門シニアマネージャー浦田真幸、テジョン市経済・科学担当副市長のJang Ho-Jong氏、ハンコム・インスペースの創設者兼CEO, Dr. Choi Myungjin氏が出席しました。
ispaceの袴田武史 CEOは、「ハンコム・インスペースとの協力で月探査データ収集と解析において新たな地平を開けることを期待しています。シスルナ経済圏の構築には、複数の組織が連携してお互いの強みを活かすことが重要です」と語りました。
新たな技術の融合
ハンコム・インスペースは、韓国初の月面探査機「タヌリ(KPLO)」の運用ソフトウェアと画像処理技術に成功しており、宇宙産業における確固たる技術基盤を構築しています。本協業では、将来的にハンコム・インスペースの月周回衛星をispaceのランダーに搭載し、精度の高い月面データ収集を実施することも検討されています。
特に、両社が持つ技術力のシナジーによって新たな月面資源利用が促進され、シスルナのエコシステム構築に寄与することが期待されます。テジョン市からも、日韓の民間企業に対するグローバルな関係構築の支援意向が表明されました。
地域の宇宙産業の発展
テジョン市経済・科学担当のJang Ho-Jong氏は、「テジョンは宇宙産業のイノベーションの中心地であり、韓国の企業がグローバルに競争力を高めていくための支援を強化していきます」とコメントしています。また、今回の協業が新たな成功をもたらすことを強く期待しています。
ispaceの今後のビジョン
ispaceは、今後の宇宙開発に向けても様々な計画を進めていく意向です。2025年に日本法人によるミッション2、2026年には米国法人によるミッション3を実施する計画が進行中です。さらに、2027年には日本で開発中のシリーズ3ランダーを用いたミッション6の実施も予定されています。
ispaceのビジョンである「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ」へ向けて、今後も国内外の様々な企業や組織との連携を深め、月面経済の発展に貢献していく方針です。
今回のハンコム・インスペースとの協業契約は、両社にとって新しい可能性を開く重要なステップです。