ユニークな通販文化を生み出すフェリシモの挑戦と戦略

株式会社フェリシモは、大阪・関西を本拠地とする通販業界の先駆者であり、独自の企業文化を持つことで知られています。その名は聞いたことがある方も多いでしょうが、彼らがどのようにして日本の通販文化を革新してきたのか、その裏側について掘り下げてみたいと思います。

独自のカタログ戦略

フェリシモの成功は、その斬新なカタログ戦略にも起因しています。商品数はなんと2万点以上に上り、2022年度の売り上げは296億円という驚異的な数字を記録しました。特に特徴的なのは、商品を選ぶのではなく、顧客が「楽しめるかどうか」にフォーカスしたカタログ作りです。顧客からの「ファッション雑誌よりも面白い」という意見を受け、カタログの有料化という前代未聞のアイデアに挑戦しました。この動きが、他の通販企業とは一線を画すきっかけとなったのです。

「肉球の香り」などのヒット商品の背景

また、フェリシモの面白さはそのヒット商品にも表れています。「肉球の香りハンドクリーム」など、猫好きが集まって商品を作り上げる「猫部」という部活動が、その背景にあります。社内での取組みを通じて、10万個以上の売り上げを達成し、その一部として野良猫保護の活動にも使われています。

このようなユニークな商品開発は、サラリーマンとしてのキャリアを捨て、家業を継ぐことを決意した矢崎和彦社長の独特の視点から生まれたものです。彼のリーダーシップにより、金融危機や新型コロナウイルスの影響にも負けない強固なビジネスモデルを構築しました。

食への想いと新しい防災食

さらに、フェリシモは防災分野にも取り組んでいます。阪神・淡路大震災を経て、本社を神戸に移転した経緯があり、昨年には新たなカタチの備蓄食を発表しました。この備蓄食は、味を重視しており、一般的な備蓄食よりも美味しさを追求しています。食を通じた人々のつながりを大切にし、防災に対する新たなメッセージを発信し続けています。