トヨタ財団の助成で子育て支援の新モデル構築へ向けて
はじめに
子育て支援の制度やサービスが存在しながらも、実際には多くの家庭に届いていないという現実があります。これらの原因を探るプロジェクト「チームみんなで子育て」が、公益財団法人トヨタ財団の2025年度特定課題助成「人口減少と日本社会」に採択されました。このプロジェクトは、家族が孤立せず、社会全体で子どもを育成するための新たな政策提言を目指しています。
プロジェクトの背景
内閣府の調査によると、実に6割以上の人々が「日本は子どもを産み育てやすい国ではない」と感じています。その背景には、共働きの増加による家事や育児の負担が家庭内に集中し、結果として「無償ケアの抱え込み」が生じていることが指摘されています。このような状況は少子化を加速させる深刻な要因となっています。
このプロジェクトが中心となる認定NPO法人ノーベルは、これまでに訪問型病児保育を通じて28,000件以上の家庭を支援してきました。この経験をもとに、制度やサービスはあっても、依頼するタイミングや方法に悩む家庭の意思決定の難しさが大きな障害になっていることを明らかにしました。
家族支援の重要性
ノーベルが2023年から開始した「まるサポ」では、子育て家庭のライフスタイルに合ったオールインワンサポートを提供しています。このプログラムでは、家庭の状況を整理し、生活を支える仕組みを構築しています。行動経済学的アプローチを用いた意思決定支援により、調査では約8割の家庭で夫婦関係が改善されたという結果が出ています。さらに、4名の新たな命の誕生にもつながりました。この実績から、支援の本質は「家族支援」にあると実感しました。
プロジェクトの概要と目標
このプロジェクトは2026年5月から2028年4月までの期間で運営され、次の3つの柱を中心に進められます。
1.
「頼れない現状」の可視化(調査・研究)
現在の制度やサービスが利用されていない理由を明らかにし、心理的要因にも注目します。
2.
家族支援モデルの構築
利用しづらいサービスをどのように効果的に活用できるかを考え、再現可能な支援モデルを作り出します。
3.
政策提言
こども家庭庁に対し、家族単位での支援に転換するよう提言し、自治体に対しては地域資源を活用した支援体制の見直しを促します。
目指す社会の実現
本プロジェクトの最終目標は、子どもが生まれた時に自然と周囲が支え合い、みんなで子育てを行う社会の実現です。トヨタ財団の助成プログラムからの支援を受けて、実際の子育て現場で使いやすい制度やサービスを検証し、関連機関と連携しつつ日本の子育て環境の再設計に挑戦していきます。
選考委員会からの評価
このプロジェクトは特に、子育てを家族の外に広げていくアプローチを評価されています。特に、「意思決定支援」の重要性に着目し、調査から提言までの一環した構想を持っています。また、「子どもはみんなで育てる」という文化を創出するムーブメントへの期待も寄せられています。
中心団体「認定NPO法人ノーベル」
2009年に設立された認定NPO法人ノーベルは「子育てこそ、みんなで。」というビジョンのもと、安心して子どもを預けられる場所を提供する活動を行っています。特に、病気の時に対応できる訪問型病児保育を開始して以来、幅広い支援を行ってきました。今後も、地域や企業、行政と連携しながら、誰もが安心して子どもを育てられる社会の実現を目指しています。
結論
子育て支援の構造的な問題解決に向けて、今後の進展が大いに期待されます。トヨタ財団の助成を受け、新たな支援モデルの構築が実現すれば、子育て家庭の負担が軽減され、より多くの家庭が社会全体の支援を受けられるようになるでしょう。