新美南吉の足跡を辿る企画展
愛知県半田市の新美南吉記念館で、特別企画展「児童雑誌『カシコイ小学生』と新美南吉」が開催されています。この展覧会は、昭和7年から10年にかけて東京の精文館が刊行していた児童雑誌『カシコイ小学生』を中心に、新美南吉とその時代の文学を紹介するものです。
雑誌『カシコイ小学生』は、当時の国語教育に貢献した作品を数多く掲載しており、新美南吉もその一員として作品を発表していました。その内容は、今では非常に貴重な資料とされています。出版された当初から長い間、資料として存在しない状態が続き、その結果、『カシコイ小学生』は「幻の雑誌」とも呼ばれていました。
では、なぜこの雑誌が再注目されることとなったのでしょうか。平成22年に、精文館創業者の遺族がかなりの数の『カシコイ小学生』を保管していることが判明し、その25冊が新美南吉記念館に譲渡される運びとなりました。この発見により、南吉の文学活動だけでなく、彼と同時代の作家たちの足跡を見直す機会が生まれたのです。
また、平成30年には、雑誌の挿絵を担当した画家の作品が発見されるなど、研究が進む中で新たな情報も続々と明らかになっています。特に南吉の作品に初めて絵を描いたプロの画家である前島ともが描いた挿絵原画も展示されるため、訪れる観客は彼の作品に込められた思いや技巧を視覚的にも楽しむことができます。
企画展の詳細
本企画展は、令和7年6月29日まで行われ、毎日9時30分から17時30分まで開館しています。観覧料金は、高校生以上が220円で、常設展と合わせて手軽に楽しむことができます。展覧会を通して、新美南吉にとって『カシコイ小学生』がどのような存在だったのかが紹介されています。
公式ホームページには、展覧会の詳細や関連行事についての情報も掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
関連行事のご紹介
さらに、4月26日にはトークイベントも開催されます。このイベントでは、精文館創業者の親族である行司千絵氏と学芸員が、雑誌の成り立ちやその背景について語ります。定員は30名で、先着順となっていますので、気になる方は早めに申し込むことをお勧めします。
また、ミュージアムトークも実施されます。興味深い解説を学芸員の方が行ってくれるので、ぜひ足を運んでみてください。日程は、4月19日、5月3日、5月18日、6月1日、6月28日の各日で、午前11時から11時30分の間に実施されます。こちらは申込不要です。
お問い合わせ
半田市の教育部新美南吉記念館に問い合わせをする場合は、0569-26-4888までお電話ください。この展示は、単に子供向けの雑誌としてだけでなく、文化的な背景や文学史の一部としても大変意義のあるものです。ぜひ、文化に触れるひとときをお楽しみください。