CO₂レーザー加工対応ガラスコア基板の開発に関する最新情報
日本電気硝子株式会社(本社:滋賀県大津市 社長:岸本暁)は、汎用性の高いCO₂レーザーを利用して、穴あけ加工が可能な新型ガラスコア基板の開発を進めています。この技術は、最近のAI半導体の進化とともに需要が高まっているガラスコア基板の課題を解決する革新的な手段とされています。
開発の背景
近年、AI半導体の進化に伴い、チップレット構造の採用が急増し、より大型のダイとその数量が増えてきています。これにより、半導体チップとマザーボードを接続するためのコア基板の需要が高まっています。しかし、現在利用されている樹脂製基板は、大型化に伴うさまざまな課題、たとえば寸法安定性や熱膨張係数、剛性、放熱性能などの問題を抱えています。
次世代の高性能・高密度アプリケーションに適応するため、ガラスが良素材として注目されています。ただし、ガラス製基板に微細貫通穴(ビア)を形成するためには、従来の技術では複雑な工程が必要であり、技術的な難易度や加工時間、設備投資の面での課題もありました。
日本電気硝子が開発中のこのガラスコア基板は、汎用性の高いCO₂レーザーを使用することで、微細貫通穴の加工が可能になります。この技術により、前述の課題を克服することが期待されています。特に、ガラスの組成やレーザー加工条件を最適化することで、クラックがない穴あけを一部の穴形状で成功させており、今後さまざまな形状への展開が進められています。
開発の目標
生産性の向上
- - 板ガラス成形技術(オーバーフロー法)を活用し、量産技術を確立します。
- - CO₂レーザーによる高速加工を実現し、クラックを発生させないようにします。
- - 加工時間を大幅に短縮するための技術開発も進めています。
- - 既存の製造設備を活用することで、設備投資の負担を軽減します。
優れた信頼性
- - 温度や湿度の影響を受けにくい特性を持ち、発熱による反りを抑制します。
- - 平坦性、平滑性、剛性に優れた特性を生かして、微細配線や高密度実装にも対応可能です。
今後の展望
日本電気硝子は、2024年6月に発表予定のGCコア™(ガラスとセラミックスの複合材基板)と、現在開発中のガラスコア基板を組み合わせて、CO₂レーザー加工対応の無機コア基板のラインナップを拡充し、さまざまなニーズに対応していきます。AIやデータセンター向けの半導体市場の拡大にともない、無機コア基板の需要が今後さらに増加すると予測されており、同社は次世代半導体を支える重要な材料のリーディングカンパニーとして、技術革新と製品開発を継続的に進めていく方針です。
開発状況
現在進行中の開発では、ガラスの組成やレーザー加工条件を検討しており、2025年内には515×510mmのさらなる大型化を目指しています。また、製品化に向けた信頼性評価も進められており、2024年12月11日から13日にかけて東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2024」では、300mm角基板を出展する予定です。
会社概要
日本電気硝子株式会社は1949年に設立され、滋賀県大津市に本社を置く世界的な特殊ガラスメーカーです。同社が製造する特殊ガラスは、半導体やディスプレイ、自動車、電子機器、医療、エネルギーといった多岐にわたる分野で活躍しています。
- - 会社名:日本電気硝子株式会社
- - 代表者:社長岸本 暁
- - 所在地:滋賀県大津市晴嵐二丁目7番1号
- - 設立:1949年12月1日
- - 事業内容:特殊ガラス製品の製造・販売およびガラス製造機械の製作・販売
- - URL:日本電気硝子株式会社
同社の最新技術により、今後さらなる進展が期待されます。