OKIがインドネシア国鉄と連携し、鉄道インフラに革新をもたらす実証実験を成功させる

OKI、インドネシア国鉄との提携による革新の実証

沖電気工業株式会社（通称：OKI）は、JICAの支援を受け、インドネシア国鉄であるPT Kereta Api Indonesia（KAI）との共同プロジェクトを進めました。このプロジェクトでは、鉄道インフラの防災や維持管理を目的とした遠隔斜面監視の実証実験が行われました。実証実験は約7ヶ月間にわたり、OKIの「ゼロエナジーIoTシリーズ」を活用して進められ、これは電源や通信の配線が不要な特性を持っています。

実証実験の中心には、NB-IoT通信を用いた無線センサーとカメラの組み合わせがありました。これにより、雨量が多く湿度の高いインドネシアの環境でも安定してモニタリングが可能であることが確認されました。この技術は、鉄道インフラの防災強化や維持管理の効率化に寄与するものであり、遠隔監視技術の重要性が再認識されています。

インフラ維持管理の課題

近年、インドネシアや他の国々では気候変動に伴う自然災害が増加しており、地滑りや洪水が交通インフラに大きな影響を与えています。従来の点検方法では、専門の保守員が現場に赴いて対処する必要がありましたが、それには多大な時間とコストがかかり、特に災害時の安全確保が大きな課題でした。これに対し、遠隔監視技術は早期異常把握と保守体制の構築を可能にし、インフラ事業者の喫緊のニーズに応えるものとなっています。

遠隔監視技術の実証

今回の実証実験では、KAIの線路沿い斜面に「ZE-IoTシリーズ」の無線加速度センサーと高感度カメラを設置し、継続的なデータ収集が行われました。この設置は短時間で完了し、現場の負担軽減に貢献します。システムは、NB-IoT通信を通じてリアルタイムで斜面の傾斜角や微細な変動を検知し、カメラが昼夜を問わず鮮明な現場画像を取得。同プロジェクトでは、環境に影響されることなく、安定したシステム動作が確認されました。

約7ヶ月間の運用によって、遠隔からの傾斜変動や異常兆候の把握が精度高く実現され、人的巡回や点検作業の大幅な削減にも寄与しました。これにより、異常事態が発生した際には即座に対応することが可能になり、鉄道の安全運行へも直接的に貢献しています。

今後の展望

この実証実験の成果は、今後インドネシア国内のみならず、周辺国や他地域への展開が期待されています。OKIは中期経営計画の一環として、この領域での技術力を強化し、社会課題の解決へとつなげる取り組みを進めていく方針です。KAIからは、今回の協業が鉄道インフラのデジタルトランスフォーメーションに寄与する重要な一歩と評価されています。