発電機能を持つ有機EL素子の革新
千葉大学先進科学センターの深川弘彦教授を中心に、NHK放送技術研究所や京都大学の研究者らが共同で、「発光」と「太陽光発電」という二つの異なる機能を一つの素子で実現することに成功しました。この新しい有機EL素子は、発電機能を持つことでディスプレイやセンサーの進化を促すと期待されています。
技術の背景と課題
有機半導体は、その薄さ・軽さ・柔軟性に加えて、幅広い光の機能を持つことから注目されています。特に、有機EL(OLED)技術は、スマートフォンのディスプレイなどで広く使用されています。一方で、有機薄膜太陽電池(OPV)の開発も進行中ですが、発光機能と発電機能を同時に持つデバイスは、これまで技術的な限界に直面していました。有機EL素子における発光効率は高いものの、発電効率が非常に低く、また両機能が競合するため、効率的な利用が困難でした。
新たなアプローチ
この研究チームは、高い発光効率を持つ「MR-TADF材料」を採用し、発光と発電の効率を両立させる新しいアプローチを考案しました。これによって、青色から赤色、白色までの全可視光領域での動作が実現しました。また、MR-TADF材料を利用することで、発電の際のエネルギーロスを極小化し、理想的な動作を可能にする性能を達成しました。
画期的な成果
研究の結果、緑色や橙色の発光を持つ素子では、発光効率が8.5%を超える成果を達成し、青色発光の素子でも実現に成功しました。これにより、従来の技術では難しかったフルカラー表示や高度な省エネルギー機能を持つデバイスの実現に大きく寄与することが期待されます。
今後の展望
今回の技術革新によって、将来的には「省エネディスプレイ」や「可視光通信デバイス」、「自立駆動型光センサー」などの実用化を目指すことができます。特に、室内の光を利用して電力を自給自足できるディスプレイが実現すれば、エネルギー効率の向上に繋がります。今後は、さらなる高効率化と耐久性の向上を目指し、新しい電子機器の開発が期待されています。
まとめ
この発電機能を持つ有機EL素子の開発は、次世代のデバイス技術に向けた重要なステップです。さまざまな分野での応用が期待され、持続可能な社会に向けた技術革新の一翼を担うことでしょう。今後の研究成果に注目が集まります。