2024年引越しシーズンにおける賃貸住宅市場の最新動向
引越しの季節が近づく中、リーシング・マネジメント・コンサルティング株式会社(LMC)は、2024年の賃貸住宅市場についての調査結果を公表しました。この調査は、2024年7月に首都圏の賃貸不動産仲介担当者354名に対して実施され、賃貸市場のトレンドや顧客ニーズの変化を明らかにしています。
都心部の賃貸市場の変遷
2020年まで、東京都心5区では賃貸住宅への需要が高まり続け、人口は転入超過の状態が続いていました。しかし、コロナ禍によりテレワークが普及し、人口は転出超過に転じ、賃貸マンションの需要が減少した結果、空室率は上昇し、募集賃料は下落しました。
2022年以降、コロナの影響が和らぎ、企業がオフィス勤務を再開したことで、都心部への需要が戻り、特に高級マンションや利便性の高いエリアでの住宅価格が再上昇しました。一方で、インフレや建設コストの高騰により住宅購入が難しく、一部の購入者が賃貸にシフトする動きが見られます。
現在、多くの引越し希望者が都心に戻り、賃貸市場は回復傾向にあります。空室率が改善し、賃料は過去最高水準に達しています。この背景を受けて、LMCは賃貸仲介担当者に対し、現在のニーズや市場動向についての調査を行いました。
調査結果のハイライト
1. 引越しシーズンでの顧客の動き
2024年の引越しシーズンでは、顧客の動きが活発になっており、昨年(2023年)に比べて「増加」の回答が多数を占めました。特に個人や外国籍の顧客の増加が目立ち、法人については「変わらない」という回答も比較的多い結果となりました。
2. 賃料予算の上昇
顧客のお部屋探しにおいて賃料予算が大幅に増額されていることが調査で確認されました。特に、単身者は約5,000〜10,000円、二人入居者は約10,000円、ファミリータイプは10,000〜20,000円程度予算を引き上げることが求められています。
3. 供給の偏り
供給の観点では、単身者向けの1R・1Kタイプは豊富に募集がされている一方で、ディンクス向けやファミリー向けの物件については供給が少ないという意見が多く寄せられています。特にファミリー向けの2LDKタイプの供給は、都心の5区で57%、その他の23区では70%の担当者が不足していると回答しています。
4. テレワーク対応物件の需要
コロナ後もテレワークを考慮した物件の需要は衰えることなく、特に23区(5区以外)では3〜4割の割合がこのニーズを示しています。テレワークは引き続き賃貸市場の要素となっています。
5. 電子契約の普及
電子契約は賃貸市場において浸透し始めており、約37.6%の契約が1〜2割の割合であると報告されています。時間短縮やコスト削減の面でも多くの担当者がその効果を実感しているようです。
まとめ
引越しシーズンの到来に伴い、2024年の賃貸住宅市場は、顧客のニーズが多様化し、賃料予算の上昇、供給の偏り、テレワーク対応物件への需要が顕著です。市場の回復が期待される中、今後の動向に注目が集まります。調査の詳細は、LMCの公式サイトから確認できます。