Global Vascular、シリーズBラウンドで10億円を調達
2023年に入り、次世代医療機器開発を手がけるGlobal Vascular株式会社は、シリーズBラウンドで総額10億円の資金調達を完了した。この結果、同社の累計調達額はなんと27.7億円に達し、今後の事業拡大に向けた基盤が整った形となる。
資金調達の背景と目的
今回得た資金の具体的な活用法は明確だ。まず、国内での探索的治験や検証的治験の実施がその一つである。治療の有効性を証明するための重要なステップであり、同社が開発する薬剤溶出性ステント(DES)の実用性向上を図るためには欠かせない。また、製造プロセスの最適化や量産体制の確立も目的に掲げられており、これは将来の市場投入へ向けた準備といえる。
加えて、海外市場、特にアメリカでの規制対応や申請準備にもこの資金が充てられる。これは国際的な競争力を高める意味でも非常に重要である。Global Vascularが手掛けるBTK領域のDESは、これまで治療選択肢が限られていた末梢動脈疾患(PAD)の重症患者にとって、大きな希望となりうる。
国内治験の実施と未来の展望
同社は2027年までに国内治験を実施し、薬事承認を目指す計画を立てている。特に注目されるのは、BioStealth™ステントを用いた新しい治療システムの開発である。すでに2024年には米国GLP基準に準じた非臨床試験を完了しており、グローバル市場での薬事戦略も推進中。この臨床開発は、日本国内に留まらず、世界の患者に貢献するための重要な礎となるだろう。
Global Vascularの独自技術
Global Vascularが誇るのは、長谷部光泉をリーダーとするHasebe Research Groupから生まれた、バイオマテリアル技術である。フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンコーティング(F-DLC)により、ニッケルチタン(NiTi)ステントの表面に異物反応を極小化させることに成功している。この技術は、これまでの他社のアプローチには見られなかった新しい解決策を提示しており、医療現場での影響力は計り知れない。
国際的なニーズに応えるための取り組み
現在、世界には2億人以上のPAD患者が存在し、その中でも重症化する患者が多く、治療選択肢が限られているのが現状である。Global Vascularは研究成果と臨床知見を融合させることで、今までの常識を覆す新たな治療アプローチの開発に取り組んでいる。この取り組みが、今後のグローバルな市場での医療機器開発において重要な役割を果たすことが期待されている。
投資家からの高評価
今回の資金調達においては、Diamond Medino Capital、三菱UFJキャピタル、三井住友信託銀行、メディキットなど、多くの著名投資機関が支援表明を行っている。彼らはGlobal Vascularの取り組みが、医療界に革新をもたらすものであると強く信じており、その期待は今後の事業成長につながると考えられる。
まとめ
Global Vascularの未来は明るい。次世代ステント技術を用いた新たな治療法が、皮膚病に苦しむ患者の生活を劇的に改善することが期待されている。チームは医療界の常識を変えるという強い信念を持つ実力派ばかりで構成されており、今後の進展に目が離せない。治験の成功が、世界中の患者の生活の質を向上させる第一歩となるだろう。