2024年版街の住みここちランキング調査結果の分析
はじめに
大東建託株式会社が発表した2024年の「街の住みここちランキング」は、842,238名を対象にした大規模な居住満足度調査に基づくものです。この調査では、全国の1,890市区町村に住む20歳以上の男女を対象に、居住満足度やその影響要因を詳細に分析しています。特に、オーバーツーリズムに関する問題が注目されている中で、観光客が多い地域かどうかが住みここちにどのように影響を与えるかを解析した結果も含まれています。
調査の背景と目的
2025年までに訪日外国人旅行者数が350万人に達するとの予測が立てられ、メディアではオーバーツーリズムの問題が取り沙汰されています。しかし、観光客数が居住満足度にどのように関与しているかは、これまで明言されてきませんでした。このため、本調査では、観光来訪者数が住みここちに与える影響を探求することが主要な目的とされています。
調査方法
調査は株式会社マクロミルの協力を得て、オンラインで行われました。対象となったのは、全国の20歳以上の男女842,238名であり、正確なデータ集計が行われています。回答者の男女比や年齢層、未婚・既婚の割合も調査結果の信頼性を高めています。
住みここち因子の分析
住みここちランキングを構成する要因について、統計的手法を用いて因子分析が行われました。その結果、「親しみやすさ」「賑わい」「静かさ」「治安」「物価」といった8つの因子が抽出され、それぞれの影響力が評価されました。
親しみやすさと賑わいが重要
分析の結果、最も影響が大きいのは「親しみやすさ」と「賑わい」であり、逆に「行政サービス」の影響は非常に小さいことが明らかになりました。また、「生活利便性」の影響は統計的に有意ではなく、これまでの調査と比較して新たな知見が得られました。
観光来訪者数の影響
今後、観光来訪者数が居住満足度に与える影響についても詳しく見ていきましょう。着目すべきは、観光が非常に多くの人々を引き寄せている地方都市で、住みここち評価が低いこともあれば、大都市で観光客数が多い市区町村が高評価を得ていることです。
限定的な影響
調査の結果、観光来訪者数が該当市区町村の人口を大きく上回っている場合でも、住みここちへの影響は非常に小さいことが示されました。これは、観光客による地域の賑わいが居住者の評価に直接寄与しないことを示唆しています。
結論
この調査は、居住満足度が観光来訪者数とは必ずしもリンクしないこと、特に「親しみやすさ」と「賑わい」が最も影響を与える要因であるといった新たな発見をもたらしました。今後の地域づくりや観光政策において、これらの要因を重視することが重要です。
今後、さらなる分析やデータ収集を進め、住みここち向上に繋がる情報を提供していくことが期待されます。調査の詳細については、公式ウェブサイトからも確認可能です。